研究課題/領域番号 |
17K01770
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
中村 友浩 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30217872)
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研究分担者 |
北村 憲司 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助教 (40214811)
藤里 俊哉 大阪工業大学, 工学部, 教授 (60270732)
石道 峰典 大阪工業大学, 工学部, 講師 (80737536)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電気刺激条件 / 三次元培養筋 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、三次元培養筋を用いた分泌物質探索法の確立を目的に実験を遂行した。電気刺激による副次的な要因を除外するために、電気刺激に伴う電気分解や電気刺激が、細胞損傷や生存に与える影響を評価した。電気刺激条件の違いが三次元培養筋に与える影響に関しては、電気刺激システム収縮特性評価では、50V の特定の強縮条件の電界強度で1時間印加しても、一度低下した張力が回復するために細胞への顕著な損傷はないものと判断した。しかしながら、本研究グループで開発した電気刺激システムでは、電気分解の影響が少なからず生じるために、新たに市販の電気刺激システムを購入した。この電気刺激システムは、カーボン電極を使用しており、電気分解を最小限に抑えることができる。本システムでは、電圧を上げると培地内の電界が乱れることが判明したために、40V の特定の強縮の条件で電気刺激を与えた。培養筋の生存率をCellTiter-Glo3Dで当初、評価予定であったが、簡便なアラマーブルー法に変更して実施した。予備的な結果ではあるが、この電気刺激が細胞生存率に与える影響はないことが明らかとなった。この電気刺激条件では、収縮特性から判断される細胞損傷もないと判断できた。しかしながら、細胞生存率に影響を与えない範囲で細胞膜損傷が起きている可能性も否定できず、培地中のβアクチンおよびLDH放出量を評価するなど、より詳細な解析も検討課題として残された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電気刺激条件の違いが、培地の電気分解に与える影響は使用する電気刺激システムを変更することで解決した。また、電気刺激条件の違いが、三次元培養筋の細胞死や細胞損傷に与える影響に関しては収縮特性という機能的な側面と細胞死を判断する簡便な試薬を用いることで、副次的な作用が生じない至適電気刺激条件を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、至適電気刺激条件で、三次元培養筋を収縮させ、培地に分泌する化合物を質量分析法を利用して解析し、同定する。しかしながら、細胞生存率に影響を与えない範囲で細胞膜損傷が起きている可能性も否定できず、培地中のβアクチンおよびLDH放出量を評価するなど、より詳細な解析も同時に行う必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金が生じた理由として、研究を遂行する上で最適化した電気刺激装置が市販されていることが判明し、購入したため。今後はこの電気刺激装置を使用し、三次元培養筋に電気刺激を印加して培地中に存在する化合物を解析する試薬や消耗品を購入するために助成金を使用する。
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