| 研究課題/領域番号 |
17K01771
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| 研究機関 | 大阪工業大学 |
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研究代表者 |
石道 峰典 大阪工業大学, 工学部, 講師 (80737536)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | AQP4 / 筋萎縮 |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、2018年度までの研究において骨格筋における水分代謝の主要な制御因子の一つである水チャネル“アクアポリン４（AQP4）”の発現が、運動ニューロンによる筋線維の支配と密接に関係していることを明らかにした。一方で骨格筋においてAQP4の減少と筋萎縮との直接の関係性については不明瞭なままである。加齢性筋萎縮のメカニズムを解明する上でAQP4の減少と筋萎縮との関係性を明らかにすることは、重要項目の１つである。
そこで、本年度の研究は、運動ニューロンによる筋線維支配の喪失がAQP4の発現様式と筋萎縮との関係性に及ぼす影響を明らかにすることを目的に実施した。実験動物にFischer 344系ラットを用い、被験筋を前脛骨筋とした。被験筋である前脛骨筋を支配している坐骨神経を切断することにより、運動ニューロンによる筋線維支配の喪失（除神経）を誘発した。除神経後、１、４、７日目に被験筋を摘出し、筋重量を測定することで、除神経による筋萎縮の経時的変化を検討した。またAQP4や関連タンパク質の発現量の経時的変化をウエスタンブロット法により明らかにした。その結果、除神経４日目において、相対筋重量の有意な低下が認められると同時に、AQP4の発現量の有意な低下も確認された。一方で、AQP4の発現制御に関与すると考えられていた速筋型ミオシン重鎖の発現量は、除神経後7日目に有意な低値を示した。
以上のことから本研究により、運動ニューロンの喪失によるAQP4の発現量の低下と筋萎縮の発生時期は類似していることが明らかとなり、AQP4の減少と筋萎縮は独立したメカニズムによって制御されている可能性が示唆された。さらに本研究では、速筋型ミオシン重鎖の発現様式がAQP4の発現制御に関与するという従来の定説とは異なり、AQP4の発現様式が速筋型ミオシン重鎖の発現制御に関与している可能性を明らかにした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、加齢性筋萎縮におけるAQP4の発現特性の変化を解明するにあたり、昨年度までの研究成果からの発展的研究として、AQP4の発現様式の変化と筋萎縮との関係性の解明を目的に研究を実施してきた。実験動物にFischer 344系ラットを用い、下肢骨格筋を支配している坐骨神経を切断することで運動ニューロンによる筋線維支配の喪失を誘発した（除神経処理）。除神経後１、４、７日目に被験筋を摘出することで、AQP4の発現様式や筋萎縮の経時的変化を観察した。その結果、除神経後、AQP4の発現量の有意な低下が認められた時期と有意な筋萎縮の発生が認められた時期が一致した。従って、運動ニューロンによる筋線維支配喪失によるAQP4の発現量の低下と筋萎縮は、独立したメカニズムで制御されている可能性が示唆された。さらに、本研究では、速筋型ミオシン重鎖の発現様式がAQP4の発現制御に関与するという従来の定説とは異なり、AQP4の発現様式が速筋型ミオシン重鎖の発現制御に関与している可能性を明らかにした。加齢に伴い運動ニューロンによる筋線維支配の喪失が生じることから、これらの知見は、AQP4の発現特性の変化が加齢性筋萎縮に及ぼす影響を明らかにする上で重要な知見であると考えられる。またこれらの研究成果の一部は国際雑誌および国内学会で発表することができ、十分な研究成果が得られた。
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により、運動ニューロンによる筋線維支配喪失によるAQP4の発現量の低下と筋萎縮は、独立したメカニズムで制御されている可能性が示唆された。さらに本研究では、速筋型ミオシン重鎖の発現様式がAQP4の発現制御に関与するという従来の定説とは異なり、AQP4の発現様式が速筋型ミオシン重鎖の発現制御に関与している可能性を明らかにした。筋萎縮と筋線維組成の変化は、骨格筋における加齢性変化の主たる特徴であるため、「AQP4の発現特性の変化」と「筋萎縮」と「筋線維組成の変化」との間にある関係性を明らかにすることは、非常に重要であると考えられる。そこで、今後は「AQP4の発現特性の変化」と「筋萎縮」と「筋線維組成の変化」との間にある相互関係を検討していく予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
実験を遂行する上で必要不可欠な試薬や抗体などの消耗品や機器の購入にあたり、キャンペーンを利用したことで当初予定よりも低価格で購入でき、効率的な助成金の執行が可能となったため。生じた次年度使用額と合わせて、実験消耗品の購入にあてる予定である。
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