研究課題/領域番号 |
17K01779
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
早坂 浩志 岩手大学, 教育推進機構, 准教授 (00261553)
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研究分担者 |
立原 聖子 岩手大学, 保健管理センター, 准教授 (40613526)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム傾向 / 大学生活ストレス / ピアサポート |
研究実績の概要 |
予算配分時期の関係で当初の研究実施計画よりも1年遅れたが,自閉スペクトラムの傾向を有する学生が大学生活で直面しやすいストレスの特徴と,それらのストレスにどのように対処しているのかを明らかにすることを目的に質問紙調査を実施した。平成30年度学生定期診断時に1年生と留学生を除く全受診学生に回答を求め,最終的に2930名が分析の対象となった。分析の結果,自閉スペクトラムの傾向を有する学生は,傾向を有しない学生に比較して人間関係の困難のみならず,成績不振等の学業上の困難に直面したり,将来の就職に関して不安を抱いている傾向が見出された。また,そうした対人関係や学業のストレスに「友人に相談する」という対処はとれない一方で,ネットや本の利用には親和性があり,人間関係の悩みへの対処では大学の相談窓口がリソースになりうることが示された。 前年度に実施した,臨床心理学を専攻する大学院生による発達障害学生へのピアサポートの結果について学会報告を行った。研究実施計画に沿って,今年度も引き続き大学院生が,それぞれ週に1回,90分 程度,障害学生支援部署のスペースに待機して支援対象の発達障害学生と雑談をしたり,学生同士のコミュニケーションを目的としたグループ活動にファシリテーターとして参加するようにした。年度末に大学院生と発達障害学生と面談して,話した内容や改善すべき点等について聞き取りを行うなどのデータ収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算配分時期の関係で前年度実施できなかった学生定期診断時の質問紙調査を予定どおり実施することができた。前年度に実施した大学院生によるピアサポートの結果について発表を行い,今年度も継続して実施し,データを積み重ねることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,障害学生支援部署のスペースおよびグループ活動において,大学院生による発達障害学生へのピアサポートを実施してそのストレスマネジメント効果を検証するとともに,スペース内の発達障害学生同士の日常のコミュニケーションがストレスマネジメントに果たしている効果も検証する。その際に,聞き取りや質問紙だけではなく,ビデオ等の観察データも利用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施した質問紙調査の結果の学会報告を年度内に予定していたが,データ入力と分析に時間を要し,次年度5月に開催する日本学生相談学会第37回大会で報告することになったため,予定していた研究代表者と分担者の旅費は次年度に使用する。
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