研究課題/領域番号 |
17K01782
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
荒川 雅子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (60734928)
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研究分担者 |
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (00183731)
竹鼻 ゆかり 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30296545)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 養護教諭 / 成長プロセス / 学校保健講話 / 研修プログラム |
研究実績の概要 |
養護教諭自身が学校保健推進のために啓発活動を行うことは、養護教諭の成長を促すことにつながるため、養護教諭が啓発活動を行うための補助となる資料の作成を行った。養護教諭が教育実習生や、初任者の一般教員に必要な学校保健の知識を教授するために、その項目を選定し、指導資料を作成した。資料はPowerPointを用いて作成し、解説は、それぞれのスライドにノートとして記載し、校種などが違っても各養護教諭がそれをもとに同じ説明ができるようにした。また、その解説を音声で入力し、ビデオとして視聴できる資料としても活用できるようにした。 作成した資料を基に、附属学校園の教育実習開始直後に学校保健講話の機会を設け、養護教諭が学校保健講話を行った。学校保健講話後に、講話を受講した実習生を対象に、学校保健の各項目の事前理解度や、学校保健講話資料の理解度、学校保健の必要性、実習で取り組みたい項目、学校保健講話についての感想や意見などについてMicrosoftのFormsを用いた質問紙調査を実施した。分析は度数分布で各項目を集計し、感想や意見については、テキストマイニングによる分析を行った。その結果、学校保健に関する内容について今までほとんど知らなかった学生も講話により理解が進み、必要と考える学生が多数を占めた。またテキストマイニングによる分析では、学校保健講話資料は「分かりやすい」との意見が多数を占め、その効果が明らかとなった。 また、3年前より取り組んでいる、経験年数が同じ養護教諭同士による研修プログラムについてはさらに修正を加え、令和3年8月に、C県の教職経験が10年を経過した公立小・中学校、高等学校、特別支援学校の養護教諭に勤務する養護教諭に対して実施した。しかし新型コロナウイルス感染症の影響で、研修は対面式ではなく、オンデマンド形式となった。研修後のアンケート調査については、現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 計画では①専門職としての成長プロセスの概念モデルの生成と②成長プロセス評価のための尺度開発および成長を阻害・促進する要因の探索を行う予定だった が、成長プロセスの概念モデル生成のためのデータの分析が遅れ、概念モデルの生成ができていない。そのため、尺度開発についても現在開発が進んでいない状況である。 また、研修プログラムについては、平成30年~令和3年に実施した研修プログラムの結果を加える予定だったが、令和2年度並びに令和3年度については、新型コロナウイルス感染症の影響で、その実施方法が大幅に変更になったことに加え、十分な数の調査も行えなかったことから、その分析方法を再検討せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
養護教諭の成長プロセスに基づいた研修プログラムの開発について、平成30年度~令和3年度に実施し、分析した結果をもとに最終的に研修プログラムとしてまとめる予定である。令和2年度並びに令和3年度に実施した研修プログラムは、新型コロナウイルス感染症の影響で、実施方法などが違うため、平成30年度~令和元年度の研修とは分けて検討する。令和2年度並びに令和3年度に実施したオンデマンド式の研修プログラムは、今後も新型コロナウイルス感染症とそれによるICT活用の推進を踏まえると、効果的に活用するべき方法でもあるため、実施方法についても研究結果を活かした提言ができるよう、分析を進める方針である。 また、学校保健講話資料については、いつでも使用できるようにDVD資料として作成し、各附属学校園に配布する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も昨年度に引き続きコロナウイルス感染症による業務の大幅な変更等により、調査を十分に進めることができなかったため、次年度使用が生じた。次年度は新型コロナウイルス感染症による状況は引き続きみられるが、今年度と違いその対策もだいぶできつつあるため、次年度は、当初の計画の通り調査を進める予定である。次年度使用額は養護教諭の成長プロセスに欠かせない指導資料の作成並びに、研修プログラム作成の費用として使用する。
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