研究実績の概要 |
20時以降の残業の禁止, 及び夜間の残業に変わり早朝勤務を行う朝型勤務形態に従事する日勤の就業者(朝型勤務群)22名と, 20時以降の夜間の残業を行う通常勤務形態に従事する日勤の就業者(通常勤務群)18名の計40名をを対象として、リストバンド型活動量測定デバイスを装着し平日5日間の活動モニタリングを行った。得られた活動データをコサイン曲線に回帰させ概日活動リズムを得た。概日活動リズムは, Mesor(1周期の平均値)、振幅、位相時間(最大値の時刻)の3つのパラメータによって評価した。さらに、参加者はクロノタイプ(朝型夜型嗜好性)を測定するための朝型夜型質問票、睡眠を評価するためのピッツバーグ睡眠質問票と3次元型睡眠尺度(3 dimensional Sleep Scale: 3DSS), 健康関連QOLを測定するSF-36v2の質問票を施行した。また生活リズムの概要すなわち就寝・起床時刻, 総睡眠時間, 始業・終業時刻, 夜間残業時間(20時以降の勤務時間)、総労働時間を行動記録票から求めた。その結果、概日活動リズム評価において, 始業時刻, 朝食摂取時刻, 就寝・起床時刻及び概日活動リズムの位相が早くなっていることが明らかとなった。また朝型勤務形態は3DSSの位相項目得点及びSF-36v2の精神的QOLが有意に高いことが示された。 MEQ得点は朝型勤務群において有意に高く、朝型嗜好性が高かった。 夜間残業時間は朝型勤務群において有意に減少していた。これらのことから, 朝型勤務形態で働く就業者は、通常勤務形態の就業者と比較して。概日活動リズムが早くなっており, 規則正しい睡眠と生活習慣をもっていることが明らかとなった。この結果より、朝型勤務がより良いメンタルヘルスと関連する可能性が示唆された。
|