朝型勤務が就業者のクロノタイプの違いに与える影響についての検討を行った。 126名の日勤のオフィスワーカーを朝型夜型質問票[MEQ]を用いて、朝型クロノタイプ(MEQ中央値以上)、夜型クロノタイプ(MEQ中央値未満)の2群に分類し、就寝時刻・起床時刻・総睡眠時間といった睡眠習慣、及びピッツバーグ質問票[PSQI]の得点を比較した。次に、検討2において、各クロノタイプ内において、朝型勤務で働く就業者と、夜間の残業が許可されており早朝勤務を実施していない通常勤務で働く就業者において、睡眠習慣とPSQI、及び睡眠障害の有無を比較した。 【結果】検討1では、夜型クロノタイプにおいて就寝・起床時刻が遅くなっており、PSQIの得点が高いことが示された。検討2では、朝型クロノタイプにおいて、朝型勤務従事者と通常勤務従事者を比較したところ、朝型勤務従事者で起床時刻が早く、また睡眠障害を持つ人が少ないことが示された。一方、夜型クロノタイプにおいては、朝型勤務従事者で就寝・起床時刻が早く、またPSQIの得点が高いことが明らかとなった。 【考察】本研究の結果から、朝型勤務に従事する朝型クロノタイプの就業者では睡眠障害を持つ人が少ないことが示され、良好な影響を与えていることが明らかになった。 しかし、朝型勤務に従事する夜型クロノタイプの就業者では、就寝・起床時刻が早くなっており、また睡眠の質が低下していることが示された。これらのことから、朝型勤務の導入においては個人のクロノタイプを考慮する必要性が示唆された。
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