研究課題/領域番号 |
17K01786
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
稲谷 ふみ枝 鹿児島大学, 法文教育学域臨床心理学系, 教授 (00343723)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知症介護 / バーンアウト / 共感性 / 視点取得 / ケアメソッド / 教育プログラム / BPSD |
研究実績の概要 |
本研究は、認知症介護の心理的負担とバーンアウト軽減を目的に介護専門職のためのストレスマネジメント教育プログラムを開発することである。平成29年度は、介護専門職にアンケート調査を行い共感性と共感疲労、バーンアウトとの検討から、メンタルヘルスへの影響因子を探る多変量解析を行った。 平成30年度は再度分析し、3つの学会、日本ストレスマネジメント学会第17回学術大会(2018,7.28)にて「管理監督者のストレス過小評価と不調部下への関与度の関連」ポスター発表、日本心理学会(2018.9.26)「BPSDに対応する介護専門職の共感性とQOLの関連」ポスター発表、九州心理学会(2018.12.1)「認知症ケアメソッドの学習歴と共感性及びQOLの関連」を発表し、頻繁にBPSDに対応している介護専門職を対象として,共感性の下位因子がどのようにQOLに影響を及ぼすのかを検討し、共感性の認知的要素が感情的要素を介してQOLに影響を及ぼすという仮説モデルを共分散構造分析によって検証した。 その結果,「想像性」の高い介護専門職は,QOLが悪化しやすく、一方「視点取得」の高い介護専門職は悪化しにくいことが明らかとなった。量的分析結果により、頻繁にBPSDに対応している介護専門職のQOL支援として、共感性を高める介入は有効であり、特に共感性の中でも「視点取得」の向上をねらった介入がより効果的である可能性が示された。 さらに、調査では教育の受講歴と満足度との関係の分析では、共感性を向上させる教育を受ける機会が不足し、共通した教育メソッドの必要性、現状の認知症ケアメソッドの研修の内容に「視点取得」を高める訓練を加えていくことが有効である可能性が示唆された。簡易の講師用マニュアル等を開発・整備するなど、一定の認知症ケアメソッドが伝達できる体制づくりが必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、予定通り、平成29年度の量的分析結果を3つの学会で発表し、考察を深めた。この量的分析結果により、頻繁にBPSDに対応している介護専門職のQOL支援として,共感性を高める介入は有効であり,特に共感性の中でも「視点取得」の向上をねらった介入がより効果的である可能性が示された。「視点取得」を促進するプログラムとストレスの気づきと日常のストレス予防に資するプログラムの構成を念頭に、介護ストレスマネジメント教育プログラムの構成と行い、そのうえで介護施設等においてフィールド研究として、横断的な介入研究をデザインし、その教育プログラムの効果検証をスタートした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、共感的コミュニケーションスキル・バリデーション法とストレス対処スキルから構成した教育プログラムを作成し、プロトタイプのプログラムを使用し介入評価を引き続き行う。平成30年度は、介護職100名対象を目標にしていたが、合計50名を3群に割り付けて統制比較を行うに留まった。対象割付の不足分を鑑み、今後は修正を重ねて教育プログラムを再度実施して、その教育効果を評価したい。プロトタイプのプログラムを認知症ケアの専門家も交えて評価を行い、介入研究の効果をオランダ、スウェーデン等の大学研究機関との研究会議を継続し、その結果を踏まえて、教育プログラムを再構成し、介入研究を行う。国内外で2つの学会発表を予定している。研究が計画通りに進まない時の対応として、まず具体的な教育プログラムの構成に取り組み、フィールド研究に必要な100名の確保を優先する。
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次年度使用額が生じた理由 |
介入研究が来年度に継続するため謝金の予定が一部使用できなかった。またプロトタイプのマニュアル作成のため印刷物を今年度前倒しで使用したための差額が生じたが、来年度に介入研究があるため、謝金及びその他等として残金を回す予定である。
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