研究課題/領域番号 |
17K01792
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
金子 秀雄 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 准教授 (20433617)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 地域在住高齢者 / 咳嗽 |
研究実績の概要 |
高齢者に多い誤嚥性肺炎発症の主要な要素は咳嗽機能低下といわれており、その機能の一つである咳嗽力は肺炎発症リスクに関連する指標である。地域在宅高齢者においても咳嗽力低下者は存在し、その関連要因の解明は咳嗽力低下予防に必要である。咳嗽力は肺活量と呼吸筋力に関連することが示されているが、これらは身体能力や身体活動に影響されることが指摘されている。そこで、今年度は地域在住高齢者における咳嗽力の関連因子を明らかにするために、呼吸機能だけでなく運動機能と身体活動を含め、咳嗽力との関連を検証することを目的とした。対象者は歩行が自立した地域在住高齢者65名とし、咳嗽力(咳嗽時最大呼気流量)、呼吸機能(努力性肺活量、最大吸気圧、最大呼気圧、胸腹部可動性)、身体能力(下肢筋力、バランス能力)、身体活動(中等度以上の身体活動、座位時間)を測定した。その結果、対象者のうち17名に咳嗽力低下が認められ、咳嗽力と呼吸機能および運動機能との間には有意な相関が認められた。さらに、これらの項目について分析を進めた結果、咳嗽力に対する独立した予測因子は努力性肺活量と最大吸気圧であった。こららの結果から、咳嗽力の関連要因は努力性肺活量と最大吸気圧であることが示され、身体活動は咳嗽力の関連因子ではないことがわかった。地域在住高齢者の咳嗽力において肺活量および吸気筋力は重要な因子であり、これらを保つことが咳嗽力低下予防に繋がる可能性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域在住高齢者を対象に咳嗽力の関連因子を示すことができた。この結果が得られたことにより咳嗽力予防を目的とした介入効果の検証を行う準備が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
地域在住高齢者を対象に咳嗽力低下予防を目的とした介入を2種類設定し、その効果検証を行う予定である。昨年度の調査対象となった地域の代表者と連絡をとり、対象者を募集うする。対象者は2つの介入群および対照群の3群を設定し、非監視型で行う。対象者が参加しやすい場所と日時を設定することで対象者を確保し、脱落者を最小限に抑えられるように進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた旅費が抑えられたことにより生じたものである。次年度は、測定機器の消耗品、介入に必要な機材、研究協力者への謝礼(謝金)、学会発表、論文投稿に助成金を資料する予定である。
|