研究実績の概要 |
本研究は、学校を単位としたクラスターランダム化比較試験により、短時間の運動介入が骨量増大、及び運動意欲の向上や身体活動量の増加に寄与するかを明らかにするとともに、運動意欲の向上や運動習慣の形成にどのような社会環境要因(家庭環境、学校環境、近隣環境等)が関連するかを明らかにすることを目的としている。
初年度である2017年度は、これまで継続して実施している骨強度測定、及び生活習慣調査を実施した。また、運動習慣の形成に関する環境要因の一つとして、出生体重と小中学生の運動時間の関連を検討した結果を論文にまとめ、公表した。加えて、家庭環境要因である家庭の社会経済状況を簡便な質問紙にて調査し、小中学生のスポーツ参加との関連を検討した。その結果、小学生男子では、家庭の社会経済状況が高い群と比較して、低い群においてスポーツ参加の割合が有意に少ないことが示された(Prevalence Ratio[PR]: 0.87, 95%CI, 0.81‐0.93)。一方で、小学生女子では有意な違いはみられなかった(PR: 0.94, 95%CI,0.87‐1.02)。中学生においては、男女ともに有意な関連はみられなかった。 また、運動意欲の向上に関するものとして非認知能力の一つである「Grit(やり抜く力)」とスポーツ参加の関連を検討した。その結果、スポーツを実施している児童生徒は実施していない児童生徒と比較して、やり抜く力(特に根気)が高い可能性が示唆された。
加えて、2018年度に実施予定であるクラスターランダム化比較試験の計画について、連携研究者と検討を行い、実施日程、及び運動プログラムの一部(1回の運動時間、1日の運動回数、及び介入期間)を決定した。
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