研究課題/領域番号 |
17K01795
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小熊 祐子 慶應義塾大学, スポーツ医学研究センター(日吉), 准教授 (00255449)
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研究分担者 |
齋藤 義信 慶應義塾大学, 健康マネジメント研究科(藤沢), 助教 (40750261)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 身体活動 / ヘルスプロモーション / 地域在住高齢者 / ポピュレーションアプローチ / 認知症予防 / コミュニティ |
研究実績の概要 |
高齢になっても身体活動量・体力を高く維持していくことは、多くの健康上の利益がある。しかし、国民の身体活動量は減少傾向にあり、広く地域に根差した形で、身体活動増加につながる基盤が必要である。そしてその基盤が地域の健康度を保つ社会資源となる。我々は藤沢市の協力を得て、高齢者をターゲットに「プラス・テン(今より10分多くからだを動かそう)」をキーメッセージに身体活動促進の啓発を実施してきた。 2018年度には、2015年度より市内全地区で展開しているコミュニティワイドキャンペーン(マルチレベルの複数の介入地域で実施)を発展・継続した。身近な地域で集まって週1回以上運動を行う高齢者コミュニティの支援・追跡については、3年後の追跡調査を行った(計149名が参加, 76.7±6.8歳、女性63%)。その際には質問紙調査、測定結果のiPad入力およびクラウド管理の仕組みを作成・施行することができた(一部別研究費にて)。 並行して、身体活動促進の普及・継続のためのマルチレベルのアクション、課題の整理と対策を実施してきた。グループ間・支援者交流の機会として、12 月に交流会を実施した。また藤沢市老人クラブ連合会(市老連)と共同で、住民参加によるグループ運動開始・継続のための仕組みづくりとその効果(質問紙調査とワークショップ)検討に発展した。地域コミュニティでの運動実施の成果として市事業のグループ運動団体登録制度においては、登録団体数78団体参加者数2551人に及んだ。 本年度実施した藤沢市健康増進計画(第2次)中間評価のための成人3000名質問紙調査においては、回答者1425名(女性59%、57.8±17.1歳)回答率47.5%であった。 公的運動施設との連携を図る中、運動開始前の健康状態の確認ができていないことが課題として抽出され、その仕組みづくりに関連施設と連携して着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小グループにおける運動継続実施支援および3年後健康チェックについては滞りなく進捗することができた。地域資源の活用についてはさらに充実させる余地がある。IT活用について、市に提案する基盤を作成し健康チェックで活用することができた点は予想以上に進捗した点である。 本研究のノウハウの行政事業への展開については、拡大・継続がおおむね予定通り進んでいる。 質的検討により、グループ運動を周囲にすすめ継続するための鍵となる役割を持つ人の存在が明らかになった点は予想より進捗した点である。 3000名質問紙調査については市が主体で行っているものの2次利用の形であり、配布回収入力等の作業が当初の計画より遅れたため、結果の分析も若干遅れているが進捗の目途がたっている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度、小グループにおける運動継続実施支援、2018年度IT化・改良したシステムを用い4年後健康チェックを実施する。ベースラインから4年後までの計6回の結果を総合的に解析し、成果をまとめる。 2018年度3000名質問紙調査の結果を多角的に解析し、以前のもの(2013年度、2015年度)と比較検討すること、およびRE-AIMの評価指標をもとに、本取り組みの成果をポピュレーションレベルで評価する。その上で、市の健康増進計画中間評価及びその改善策と連動し、施策への改善提案を行う。また、複数の関連機関[健康増進課と関連する複数の課(例えばスポーツ推進課、地域包括ケアシステム推進室、保険年金課)、神奈川県、他大学、企業等]との連携を強化する。 また、マニュアル類のブラッシュアップを図り、他地域でも使用可能なものにする。 これらの取り組みにより、多分野と連携しながら、長期的に施策の中で身体活動推進を行い、かつ、研究としてもその経過を負いつつ相互にスケールアップ・遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
3000名質問紙調査の回収・入力・集計作業が予定より遅れたため、その後の解析・結果のまとめに関わる費用の出費が少なくなった。次年度に、解析・結果のまとめや公表に関わる費用として、持越しし、有効活用する。
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