研究課題/領域番号 |
17K01798
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大宮 朋子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90589607)
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研究分担者 |
山崎 喜比古 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (10174666)
戸ヶ里 泰典 放送大学, 教養学部, 教授 (20509525)
高田 ゆり子 筑波大学, 医学医療系(名誉教授), 名誉教授 (90336660)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Sense of Coherence / 中学生 / 親子 / 縦断 / 健康生成論 / 学校保健 |
研究実績の概要 |
2018年に実施したパイロットスタディ(中学生を対象とした親子調査、横断研究)について分析を行った。分析の結果、母親と女子生徒のSOCには相互の関連がみられたが、男子生徒と母親のSOCには関連がみられなかった。女子生徒のSOCは、母親が自覚する心身の良好さと正の関連がみられたが、男子生徒のSOCは、母親のコンディション(母親の回答)と全く関連がみられなかった。また、女子生徒のSOCは、女子生徒自身が「親からの受容や見守りを感じていること」と高いSOCとの関連がみられ、男子生徒は「他者評価に過敏であること」と低いSOCに強い関連がみられた。 また、男女別にSOCを従属変数とした重回帰分析を行ったところ、女子生徒はASD傾向が強いこと、回避的な援助希求行動をとることとSOCの低さが関連していたが、男子生徒についてはこれらの変数とSOCの関連は見られなかった。男子生徒は、「他者の言動に敏感であること」や「親からの過剰な心理統制があると感じること」がSOCの低さと関連していた。男女ともに、学校所属感があることが、SOCの高さと有意な関連があった。これらの結果から、周囲とのコミュニケーションがうまくいっていない女子生徒には教員や親から積極的に声をかけていく必要性や、男子生徒については、親の態度としては口うるさく指示しないほう良いのではないかという示唆が得られた。結果については、調査協力校での保護者会で研究者から報告し、国際学会及び国内学会でも発表した。 2019年3月~4月にかけて、都内の中等教育学校と関東の公立中学校から協力を得て、中等教育学校は1年生のみ、公立中学校は全学年を対象として、縦断研究の第1回目を実施している。調査内容はパイロットスタディに準じ、親子調査で3年間の縦断研究の予定を組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた私立の中高一貫校の研究協力が最終段階で得られなかったため、新たに対象校を選定する必要性があった。センシティブな内容が含まれる親子の縦断調査のため、協力校を探すのに大変時間がかかった。 公立中学校からの協力を得た後は、倫理審査に時間を要した。縦断研究のため、個人名とIDを連結可能とする必要性があることと、昨今の中学校あるいは高校でのいじめや生徒の自殺などの報道から、危機的状況が把握された場合の対応について大学と協力校双方にて検討、調整する必要があったため、想定以上の時間を要する結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
すでに縦断研究の最終までの計画を立て、倫理審査委員会から承認を得ている。対象校からの十分な協力も得られているため、引き続き調査を実施していく。 また、データが回収されてきているので、順次分析を進め、学会発表や論文発表を行っていく。 パイロットスタディについての分析は終えているため、現在論文化し投稿の準備を行っているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
1つの対象校について、調査可能な学年が3学年から1学年になり、対象人数が減ってしまったためと、英語論文の執筆が遅れているため、英文校閲や投稿費用が未使用になっているため、次年度使用額が生じている。 今年度は調査も複数回行い、また英文の執筆も進んでおり近々英文校閲に出す予定である。
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