研究課題/領域番号 |
17K01798
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大宮 朋子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90589607)
|
研究分担者 |
山崎 喜比古 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (10174666)
戸ヶ里 泰典 放送大学, 教養学部, 教授 (20509525)
高田 ゆり子 筑波大学, 医学医療系(名誉教授), 名誉教授 (90336660)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 中学生 / 縦断研究 / 親子 / Sense of coherence / ストレス対処 / 生きる力 / 精神健康 / ASD |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年3月より全国一斉に文部科学省管轄下の学校が休校になった。6月前後にほぼ休校が明け、継続調査の実施が危ぶまれたものの、協力校2校において9月までに生徒および保護者のデータ収集ができた。ただし、その後も学校現場は混乱を極め、2020年冬のデータ収集はできず、2020年度の調査は1回のみとなった。 これまでの全ての調査において保護者と生徒の親子マッチングデータが得られた166組のSOC変化について経時データを分析したところ、保護者のSOCに有意な変化は見られなかった。生徒のSOCについては、ベースラインと比較して2019年秋冬に特に男子生徒は有意に低下したが、コロナ禍の2020年夏において生徒全体のSOCは2019年春よりも有意に高い値となり、回復傾向を示した。特にSOCの下位尺度3つのうちの2つ(把握可能感、処理可能感)において有意に上昇したが(p=0.020, p<0.001)、有意味感については変化は見られなかった。 2020年夏の生徒SOCについて、ベースラインからの維持・上昇群は99名(60%)、下降群は67名(40%)であった。生徒全体のSOCとしては回復しても、コロナ拡大後に回復できていない層が一定数いることがわかった。維持・上昇群と下降群の2群間において、ベースラインのSOCスコアに有意差はなく、2群間で家族関係や経済状況、本人の性格傾向にも違いはなかった。しかし、下降群は学校所属感覚が回復できておらず、低下したままであった。また、全体でみるとコロナ後は友人や教師に関するストレスが減っており、これは人との密なかかわりが持てなくなったことに関連している可能性があった。 今後2群間がどのような変化を見せるのか、その変化には何が関連しているのかについて分析していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、コロナ禍の長期間一斉休校と約3か月後の学校開始を経て、学校現場は混乱と多忙を極めていたが、どうにか1回の調査をすることはできた。また、コロナ禍における2020年入学生の親子データ収集にも合意を得ることができ、調査を同時に実施できた。協力校へも分析結果について動画配信等で生徒及び教員への報告を実施した(1校)。 引き続き、データ収集と分析を進めていく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
継続して調査実施を進め、データ分析を進めていく予定である。現在国際雑誌に投稿中の論文が1本、英文執筆中の論文が1本あり、迅速な研究結果の発信を心がけたい。 データ分析については、親子分析、AMOSを用いた縦断分析、また一部では横断データの分析も検討中である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスCOVID-19の蔓延により、オンサイトの国内学会ならびに国際学会に参加することができなかったため、次年度使用額が生じるに至った。次年度は、COVID-19の感染拡大状況にもよるが、国内外の学会参加により旅費として使用する、もしくは2021年度も海外渡航が難しい可能性を踏まえ、国際誌の投稿料、英文校閲料、追加の調査費用(2020年度入学生)に使用することを検討している。
|