本研究の目的は、新たに開発したオンデマンド型動画中心ウェブ版対人関係焦点型プログラムの心理的ウェルビーイングおよびメンタルヘルスの向上効果を、子育て中の女性を対象に、ランダム化比較試験を用いて検証することである。プログラムは19の動画を中心とした4つのモジュールから構成される完全オンラインWebプログラムコンテンツであり、対人関係円滑化に焦点をあてたコンテンツである。学習内容は、メンタルへルスセルフケア、ストレスマネジメント、認知再構成、対人関係療法の考え方、アサーションなどを、具体的な事例と共に、3つの学習方法(動画、音声、テキスト)を組み合わせて行った。モジュールごとにホームワークを設定し、LINEやメールを用いて、フォローアップした。 今年度は最終年度として、プログラム介入の効果評価に関する論文化および、プログラム活用のための社会実装の準備活動を行った。具体的には検証目的の一つである、子育て女性のメンタルへルス及びウェルビーイングが、プログラム施行群において有意に向上したかについて論文”育児中女性の心理的ウェルビーイング向上を目的としたオンデマンド型メンタルトレーニングの効果検証:ランダム化比較試験”とし、公表した。 また某自治体において、本プログラムの知見を用い、子育て女性のウェルビーイング向上を通してその子どもたちの養育環境を向上させる取り組み(主に虐待予防)を行うべく、社会実装の取り組みを開始した。また本研究で得られた知見をきっかけに、日本人の特性を考慮した新たなウェルビーイング尺度の開発に向けて、あらたな研究を開始している。
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