研究課題/領域番号 |
17K01800
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
難波 秀行 (難波秀行) 日本大学, 理工学部, 准教授 (80559790)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 身体活動 / 音声認識 / 行動記録 / 加速度計 |
研究実績の概要 |
身体活動の低下は,非感染性疾患のリスクになることが明らかとされており,特に座位行動の軽減,および通勤時における歩行や自転車,スポーツ等による一定の活動量を確保することが必要である.身体活動量を簡便に精度よく測定するには活動量計の装着が有効であるが,1台数万円するものもあり,誰しもが簡便に自身の身体活動を知ることは難しい.そこで,我々はWEBを用いた行動記録法による身体活動評価法を開発してきた.これまで一般的な使用においてどの程度のコンプライアンスであれば,どの程度安定したデータが得られるかは明確ではなかった.12名の男女を対象として,一般的な使用状況における妥当性を検証したところ,1日の行動記録における行動の種類が7つ以上で加速度計の装着時間が10時間以上の条件では,r=0.77(p<0.05)であったが,7つ未満,装着時間が10時間未満の条件では有意な関連は見られかかった.したがって,行動記録法による身体活動測定の妥当性を上げるためにはコンプライアンスを向上させることが必要であるが,自身の行動を24時間にわたり振り返り入力するには手間がかかる.そこで本研究では自身の音声入力による行動記録システムの開発を試みた.平成30年度はシステム開発を完了し,実際に被験者に対して1週間のデータを収集した.同時に3軸加速度計によるデータを収集してその妥当性を検証した.男女20人を対象として調査をしたところ,音声入力による平均METsは加速度計よりもやや高い値を示した.また両測定間には,r=0.815(p<0.01)の相関があった.音声入力の1日当たりの平均時間は10時間58分であったのに対し,加速度計の平均装着時間は13時間8分であった.音声認識の技術は近年非常に発展してきており,音声データをテキスト化することにより,身体活動を測定できる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に計画した音声入力による行動記録に基づく身体活動測定システムを開発し,対象者男女の20人の音声による行動記録データを収集した.また連続する7日間から加速度計によるエネルギー消費量を算出しデータ分析を行うことができた.よって研究は計画通りおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
対象者を拡大し,自己の音声入力による行動記録をアプリに入力し,収集した音声データから,総エネルギー消費量,活動エネルギー消費量を算出できるアルゴリズムを開発する.音声入力による身体活動測定の妥当性についてデータ分析を進め,収集したデータから総エネルギー消費量,活動エネルギー消費量の比較,活動強度ごとの身体活動量の比較,活動強度ごとの相関係数およびBland-Altman plot分析による系統誤差の検討を行う. また,ユーザビリティ評価として使用感,入力時間,入力回数を検討する.音声入力による行動内容を精査し,機械学習のアルゴリズムを利用して,より精度を高められるような仕組みを開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の投稿時期を平成31年度に変更したため、論文投稿料・掲載料として割り当てていた予算が未消化となった。平成31年度には,「音声認識による身体活動測定のアプリ開発」に関する論文と,「音声認識による身体活動測定の妥当性」に関する論文を投稿予定で,その掲載費に費用を使うことを計画している.
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