研究課題/領域番号 |
17K01802
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
鈴木 伸治 常葉大学, 保健医療学部, 教授 (50393153)
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研究分担者 |
寺田 恭子 桜花学園大学, 保育学部, 教授 (20236996)
里中 綾子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 特任准教授 (80632497)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 重症心身障害児者 / 介護者 / 在宅 / リハビリテーション / 身体活動 / 体力 / 健康 / 握力 |
研究実績の概要 |
本年度は,在宅で生活する最重度の身体障がい者の家庭における主たる介護者の日中の活動や体力を調査した.伊豆医療福祉センター外来を受診する在宅の最重度身体障がい者の主たる介護者94名に対して問診とサルコペニアの指標の一つと考えられている握力測定を行った.障がいをもつ方がGross Motor Function Classification System (GMFCS)レベルI~IIIの脳性麻痺(n=12),Duchenne型Dystrophy(n=3),二分脊椎(n=1),その他(n=8)を除くGMFCSレベルV(ほぼ寝たきり)の脳性麻痺がある方の主たる介護者(全員女性)70名を解析対象とした.得られた知見は以下の通りであった.握力は年齢が増加するにつれて減少し,有意ではあるが緩やかな負の相関があった(r=-0.33, p<0.01).60歳未満では日本人の握力基準値(*1)を下回る被験者が少なくなかったの対し,60歳以降で基準値を下回った被験者はみられなかった.また50歳以上(n=34)と50歳未満(n=36)では統計学的に差が認められなかった.被験者の属性では定期的にエクササイズをしない主婦,定期的にエクササイズをする主婦,定期的なエクササイズをしない職業を有する女性,定期的にエクササイズをする職業を有する女性の4群間で握力の差は認められなかった.これらの知見から在宅における最重度障がい者の主たる介護者の握力は経年的な低下が鈍く長期間にわたって比較的良好に保たれている可能性が高い.しかし,介護する障がい者がいない家庭の女性を対照群と定め,さらに検証する必要がある.また昨年度の反省をふまえ,通所施設で利用者,家族,および職員に車いすダンスへ関心をもってもらえるように新たなDVDを作成した. *1.日丸哲也,青山英廉,永田晟.健康体力評価・基準値事典.ぎょうせい,東京,1991.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
横断的調査ではあるが,主たる介護者(全員女性)の職業や身体活動の違いといった属性とはまったく無関係に在宅における最重度身体障がい者の主たる介護者の握力が年齢の増加につれた減少が鈍いという知見が得られたことは本研究の大きな成果の一つであると考えるため.また,この知見が,今後,最重度身体障がい者と主たる介護者の体力の維持更新や健康増進を考える上で参考にできるという意義を有し,今後の研究の展開に重要な意味を有すると考えるため.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は新たに作成したDVDで車いすダンスが通所施設のアクティビティとして取り上げてもらえるように努力する.そして週2回以上のアクティビティとして導入していただける施設があれば,利用者,家族,および職員の協力を得た上で,車いすダンスによる在宅最重度身体障がい者の呼吸循環系の持久力におよぼすトレーニング効果を検証したい.また握力については家庭に介護する家族がいない女性を被験者として握力を測定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた旅費および人件費・謝金における支出が下回ったため,残金は次年度に繰り越し,旅費,人件費・謝金に支出致しますのでお認めくださるようお願い申し上げます.
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