研究課題/領域番号 |
17K01809
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
今井 具子 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (00393166)
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研究分担者 |
大塚 礼 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 室長 (00532243)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 健康作り / ITC / ポピュレーションアプローチ |
研究実績の概要 |
2019年度は同志社女子大学生活科学部食物栄養科学科3 年生を中心とした女子大生を対象に、我々が開発した本アプリによる食事・体重・運動の自己管理とSNS を用いた情報提供を利用した約6 ヶ月のやせ・過度のダイエット予防の介入プログラムを作成し、RCTを計画していた。そこで本アプリ対象者のうち若年層の利用者から対象者を募ったが、目的の人数に達しなかった。昨年度は、事業所の都合とは言え、職域での介入研究が行えなかったことから、介入研究によるアプリの有効性の検討を行う手法以外の方法を検討することにした。本アプリにはアプリ開発時から2019年10月までに約7000人分のアプリ利用者の蓄積データがあることから、この蓄積データの詳細の検討を行った。 その結果、アプリ登録者はアプリ開発当初のターゲットとしていた痩せが心配される若年女性だけではなく、10歳未満から70歳代まで幅広いライフステージで利用があり、近年ほど中年男性、肥満者、身体活動の低い者の利用が増加し、年に25日程度の利用者が多くその程度の期間で完結する情報提供が有効であることが示唆された。また、年間30日以上の利用者は肥満者、中年以上の男性に多く、体重や身体活記録なども多く利用していることがわかった。アプリの有効なアップデートは何か解析したところ、ゲーム性を加味した取り組みや、ライフステージを細かく分けた情報提供が有効である一方、双方向性の取り組みは効果が低いことが判明した。 今後の展望としては、2020年度はコロナウイルスの蔓延により、ITCに対する人々の考え方が変化した可能性も高いことから、もう一度利用者による介入研究を模索するとともに、他のオープンデータや企業と連携など新たなアプローチを考えていく予定である。これらの成果の一部は2019年度の日本改善学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者を絞った無作為化比較研究が、対象集団の都合で予定通り行えなかった。アプリ利用者の特性に合わせた研究の組み立てや、アプリの開発が重要であることが示唆されることや、社会の状況に即した対応が重要と考えられることから、ライフステージに合わせた詳細で密な情報提供を試み、アプリ利用者の利用状況から、実用的な総合的な健康サポートシステムへ進展させていく計画である
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今後の研究の推進方策 |
社会の状況に即して、ライフステージに合わせた詳細で密な情報提供を試み、アプリ利用者の利用状況をICT等を用いて、ネット上のアンケート等で確認し、このアプリを実用的な総合的な健康サポートシステムへ進展させていくためのデータを収集する。 コロナウイルスの影響により、対面の健康作りの取り組みのできない状況であることから、2020年度に計画していた地域での健康教室参加者による無作為比較研究は実施不可能であることが予想される。しかし、反対にICTを用いた情報提供は求められる状況である。アプリを用いた高齢者に対する健康情報の提供を予定以上に密に行い、その有用性をICTを用いて判断する等、手法を変えて高齢者や、その他のライフステージで確認していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月にコロナの影響により、研究活動を自粛したため、人件費・謝金としての利用ができなくなった。2020年度もコロナの状況により、確証はできないが、アプリデータの整理、データベースの更新、NILS-LSAの食事データの解析のための人件費として使用したい。
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