研究課題/領域番号 |
17K01809
|
研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
今井 具子 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (00393166)
|
研究分担者 |
大塚 礼 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 室長 (00532243)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 健康情報 / アプリケーション / ICT / SNS |
研究実績の概要 |
2020年度は地域在住の高齢者を対象に、本アプリによる食事・体重・運動の自己管理と SNS を用いた情報提供を利用した約1年間の低栄養・ロコモティブ・シンドローム予防の介入プログラムを作成し、RCT を行う予定をしていた。介入プログラムには地域高齢者の健康作りのための運動・レクリエーションを含み、健康教室と SNS による健康情報の発信を行い、その有用性を検討する予定であった。しかしコロナ禍によりRCTの対象者を募集することができなかった。そこで、利用者数が最も多い若年女性にターゲットを絞り、コロナ禍により増えた「お家時間」での本アプリの利用促進を狙い、運動・料理・栄養などの健康情報の提供をブログ、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムに充実させ、その有用性の検討を行った。また高齢者、幼児、学童などのライフステージにも同様に健康情報の提供を行った。その結果、今年度の新規登録者数は月平均10.8人であり、ICTを使った健康管理、食事記録の需要がコロナ禍で増加していることがうかがわれた。全利用者のアプリ平均利用日数は、2019年度は18.2日、2020年度は25.7日、男性では2018年度、2019年度よりも利用日数が有意に増加した。対面が制限されるコロナ禍ではアプリによる健康管理がさらに重要となる可能性も高いと考えられる。今後はアプリ外のデータソースとのデータマイニングを拡充させるなど、ウイズコロナ・アフターコロナ時代に対応した健康づくりツールとして更に研究を重ねていく必要があることが伺われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
無作為化比較研究は、コロナ禍のため予定通り行えなかった。また昨年度の研究結果から本アプリの年間30日以上の利用者は、肥満者、中年以上の男性に多く、アプリの有効なアップデートとして、ゲーム性を加味した取り組みや、ライフステージを細かく分けた情報提供が有効である反面、双方向性の取り組みは効果が低いことが判明している。また高齢者はICTとの親和性が低く、対面を中心に補助的にICTを用いた健康づくりの取り組みが望まれることがわかった。今後はアプリ利用者の特性に合わせた研究の組み立てや、社会状況に即した対応が重要と考えられる。本年度はブログ、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどのSNSや、Zoom等のオンライン、DVD等の媒体を活用し、ライフステージに合わせて、文字媒体だけではなく、動画・写真などを使った健康情報の提供を密に行ってきた。この経験をアプリに活用し、時代に即した実用的・総合的な健康サポートシステムへと本アプリを進展させていく計画である。また、オープンデータや企業との連携など新たなアプローチが可能か検討していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は本研究の最終年に当たることから、この4年間のアプリ開発の成果を統合してアプリ利用者の特性や要望に即した本アプリの改良を行い、より多くのライフステージへの健康情報発信を検討し、アプリシステムに適用することである。またコホートデータを活用し、アプリのデータベースの更新の必要性の検討を行い、アプリに反映させる予定である。ただし当初の予想と社会状況が変化したことを踏まえて、科学的根拠に則ったオンライン型の健康サポートシステムとして、基盤研究終了後も本システムのアップデートを継続できる体制を検討することである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、データ入力等のアルバイト費として計上していた調査補助を使用できなかったことや、学会が誌上開催となり、対面での実施がなくなったため学会に要する費用を使わなかったため。調査補助は次年度に2020年度分と2021年度分を用いて、データ整理入力等の作業を行い、アプリ構築費用としても使用する予定である。また延期されている国際学会への参加費や、国内学会への参加費用として使用する予定である。
|