研究課題/領域番号 |
17K01810
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
佐藤 真治 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (60529973)
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研究分担者 |
横井 豊彦 大阪産業大学, スポーツ健康学部, 教授 (20454621)
都竹 茂樹 熊本大学, 教授システム学研究センター, 教授 (70467869)
大槻 伸吾 大阪産業大学, スポーツ健康学部, 教授 (90247875)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高齢者 / 身体活動量 / インセンティブ / ソーシャルネットワーク / 社会参加 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、熊本市を対象地区として、経済的インセンティブとソーシャルネットワーク・インセンティブ(SNI)の併用が身体活動量を増やすことができるかどうかを検証した。65歳以上の女性39名を無作為に割付し、経済的インセンティブ単独群とSNIに経済的インセンティブを加えたSNI+群に分けた。SNI+群は、3人1組でウォーキングを実施した。介入期間は3か月間。両群とも、経済的インセンティブとして、1か月の歩数が8,000歩以上の場合は700円/月分、1日の歩数が平均5,000歩以上の場合は500円/月分のクオカードと引き換えられるようにした。また、SNI+群はクオカードに関して、チームのうち1名が目標歩数を達成すれば他のメンバーにも報酬がもたらされるようにした。身体活動量は歩数で評価し、介入前と介入直後、介入後6か月に測定した。2元配置の分散分析の結果、両群の歩数の変化に交互作用を認めた(p=0.017)。 SNI+群は、介入前と比べて介入6か月後に有意に歩数が上がったが(6,195→7,354, p=0.006)、経済的インセンティブ単独群は変化を認めなかった。以上から、地域における身体活動増進の介入として、経済的インセンティブにSNIを組み合わせると有効であることを確認できた。 また、今年度は、豊岡市を対象地区として、身体活動量と社会参加の関係も明らかにした。無作為に抽出された市民2,500名にアンケートを配布し、身体活動量と社会参加を含むソーシャルキャピタルの下位項目について共分散構造分析した。その結果、社会参加は「近所づきあい」や「挨拶」を経て、身体活動量と関連していた。すなわち、外に出て歩くようになった人が近所の人と挨拶することをきっかけにして、社会参加する可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
熊本市での介入研究が大きな成果を生んだことで、同様のスキームを他の地域(舞鶴市)や別な対象(熊本市、心疾患患者)で検証する機会を得た。したがって、研究期間を1年間延長して上記の検証を進めることにした。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度、舞鶴市と熊本市にて、本研究課題をさらに発展させた介入をおこなう。 舞鶴市では、ソーシャルネットワークインセンティブとして、三人組で歩くことに加え、市内のウォーキングコースにグループ同士が気軽に集える拠点を設置する。異なるグループ同士の交流が相互作用を引き出し、他の住民を巻き込む動きに派生することを期待している。ウォーキング拠点は市内の薬局やカフェが候補地である。以上を、地域全体の身体活動量をメインアウトカム、人のつながりを副次アウトカムとして、クラスター・ランダム化比較試験を用いて検証する。 また、熊本市では対象者を心疾患患者に拡大する。対象(心疾患患者)をランダムに1人で歩く群と3人で歩く群に分け、医療機関が作成した運動処方に基づいて定期的にウォーキングを実施する。介入期間は6か月。メインアウトカムを身体活動量、副次アウトカムを運動耐容能として、クラスター・ランダム化比較試験として検証をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画では、データ入力を業者に依頼して実施する予定であったが、大学院生に入力作業を代行させた結果、不要となった。また、最終年度に予定していた研究成果を発表する公開市民講座が新型コロナウイルス感染症の影響で開催のめどがついていない。
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