研究課題
本研究は、身体活動・運動習慣の獲得のために必要となる個人への動機づけのあり方について、対象者の特性に応じて支援法を変えることで運動継続率が向上するのか、特に労働者を対象として介入調査によって明らかにすることを目的とした。研究2年目までは、福岡県の企業2社と関東の企業2社の計4社において、任意での参加に同意した計178名の労働者を対象に12週間の介入調査を実施した。対象者をランダムに、運動の効果を伝えて支援する「結果重視群」と、運動の過程を楽しむように促して支援する「過程重視群」および「対照群」に割り振り、それぞれの群ごとに今回の研究課題を意図した内容の異なる「励ましメール」を毎週送信し、身体活動・運動継続を試みてもらった。調査項目は,活動量計装着による平均歩数や身体活動量、主観的な歩行数等で,これらの介入前後の変化を各群間で比較した.介入後には励ましメールの閲覧状況等を尋ねた。さらに介入期間終了3ヵ月後の運動実施状況等も調査した。研究最終年の令和元年度は、これらのデータの分析と結果の考察を行った。またその成果を、1)第37回産業医科大学学会「労働者の身体活動向上指導の介入効果 -結果重視型支援と過程重視型支援の違い-」、2)第26回日本行動医学会学術総会「労働者の性格特性を考慮した身体活動量向上指導の介入研究:ランダム化比較試験」として、2つの学会において発表した。このうち後者の発表内容は学会優秀演題賞を受賞した。本研究では、「結果重視群」と「過程重視群」との比較で、「過程重視群」のほうが離脱者が少なく、さらに性格特性によって離脱者の割合に差がでてくることが明らかになった。このことから、継続への支援法の選択には,性格特性を加味することが有効となる可能性がある。本研究によって、人々の身体活動・運動継続への行動科学的アプローチ法に関する大変意義深い示唆が得られたと言える。
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