研究課題/領域番号 |
17K01816
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾形 裕也 東京大学, 政策ビジョン研究センター, 非常勤講師 (90336016)
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研究分担者 |
津野 陽子 東北大学, 医学系研究科, 講師 (50584009)
古井 祐司 東京大学, 政策ビジョン研究センター, 特任助教 (90396747) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生産性 / 健康リスク / 職場環境 / コホート / 健康経営 |
研究実績の概要 |
3組織の従業員(病院約2,000人、保険サービス関連企業約17,000人、金融関連企業約13,000人)において、過年度の健診・問診データ、医療費データ、個人属性データに、生産性指標(プレゼンティーイズム・アブセンティーイズム)のアンケートデータを追加した統合データを作成した。統合データは、2組織は2年間のコホートデータとなった。1組織については、3時点(3年間)のコホートデータとなり、さらに従業員の家族(被扶養者)のデータを1年分であるが、従業員データと突合した研究データを作成した。企業(組織)・健保組合との共同研究体制のもと研究遂行できたため、企業(組織)・健保組合にて生産性やストレスに関連するアンケート調査を実施し、研究データとして受領することができた。 健康・職場環境と生産性の関連性の検証のため、分析枠組みを先行研究により検討を行った。作成したコホートデータにより、組織ごとに分析に着手したところである。分析は、リール第1大学の研究者らと連携し、分析手法を検討しているところである。生産性指標の変化にはストレスや仕事満足度などの心理的健康リスクが影響することが明らかになった。また、家族の受診日数が多いことは、従業員の有給休暇の使い方に影響することが分かった。先行研究でも従業員と家族(被扶養者)のデータを突合し分析をした研究は見当たらず、データ作成・分析を試みたことで、新たに研究課題も明らかとなった。共同研究先とは研究会議をもち、研究結果を共有し、結果を職場環境改善に生かすための議論を行ったり、介入方策を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、4組織のコホートデータを作成予定であったが、3組織となり、もう1組織は1時点のデータとなっている。一方で、当初計画にはなかった従業員のデータのみではなく、従業員の家族のデータを突合することができた。従業員の生産性や健康に影響を与えると考えられる家族の健康状態との関連を検証することができ、検証できる幅が広がったため。
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今後の研究の推進方策 |
1組織については、毎年、健診・問診・医療費データ、アンケートデータを統合し、従業員(被保険者)のコホートデータを作成する。さらに、家族(被扶養者)のデータも2年目としてコホートデータを作成し、従業員データと突合したデータを作成する。 健康・職場環境と生産性の関連分析は、ベースラインの健康・職場環境が2年後、3年後の生産性に影響をするか、仮説検証を行う。コホートデータの分析により因果関係を検討する。さらに、組織間の比較分析を実施し、組織間の違いの要因を検討する。リール第1大学の研究者らと研究結果を共有し、先行研究と結果を比較しながら分析手法の決定と仮説の検証を行う。 組織ごとの介入方策検討として、健康リスク項目のベースラインと2 年後・3年後の変化(悪化)が生産性指標の変化量と関連しているかを分析することで、各組織の有効な介入策のあり方を検討する。各組織と分析結果に基づき協議を行い、介入方策の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、生産性に関する項目や職場環境に関する変数を従業員アンケート調査を実施してデータを取得する予定であったが、共同研究のもと、組織内にてアンケートを実施し、アンケートデータを研究者側は受領することができたため、調査実施費用がかからなかったため。 次年度に、被扶養者以外も対象とした家族に関するアンケート調査や、ストレスチェック以外の職場環境要因を調査するアンケート調査の実施を共同研究先と協議していく。また、研究結果の成果を論文投稿していく費用として使用する予定である。
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