研究課題/領域番号 |
17K01839
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
竹越 一博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40261804)
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研究分担者 |
中田 由夫 筑波大学, 体育系, 准教授 (00375461)
大森 肇 筑波大学, 体育系, 教授 (20223969)
前田 清司 筑波大学, 体育系, 教授 (30282346)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | レナラーゼ / 運動 |
研究実績の概要 |
研究は、2005年に発見されたレナラーゼという生理活性物質を対象に骨格筋での生理的意義の解明を目指した。運動がレナラーゼに及ぼす影響は、未だ明らかでない点が多い。そこで、様々な運動条件のげっ歯類を用いて、各器官でレナラーゼの発現が上昇し分泌されるかどうか、そしてそのメカニズムや生理的意義の解明を目的とした。 実験1では、ラットを用いてトレッドミル上で一過性(30分間)の低強度または高強度の走行試験を実施した。その結果、レナラーゼ発現量は、安静群と比較して、骨格筋において遅筋のヒラメ筋が低強度で、速筋の足底筋が高強度で有意に上昇し、腎は両強度で減少した。加えて、レナラーゼの発現を制御している因子であるHIF-1αの遺伝子発現が低強度で上昇し、NF-κBを制御しているIκB-αが高強度でリン酸化した。しかし、両強度において血漿レナラーゼ濃度の変化は生じなかった。一方で、実験2として運動強度を中強度に設定し、かつ運動時間を60分に延長した。その結果、骨格筋と腎のレナラーゼの発現量は、実験1と同様な結果を得た。加えて、血漿レナラーゼ濃度は運動群において有意に上昇した。以上より、運動中では骨格筋レナラーゼの発現量は高まり、血中濃度が上昇することを明らかとした。 さらに実験1の結果は、高強度において足底筋でNF-κBが上昇し、下流のレナラーゼも上昇した。加えて、Aktシグナルを介して、タンパク分解遺伝子であるTrim63を抑制した。これらの結果は、レナラーゼが筋タンパク分解を抑制する可能性を示唆している 以上より本研究は、動物実験において運動時の骨格筋におけるレナラーゼの転写から発現までの経路を明らかとし、細胞保護効果の可能性を示唆した。さらに、運動強度と筋線維タイプによってレナラーゼの応答が異なる事を明らかとしている。加えて、レナラーゼの血中濃度が、上昇する事を明らかとした。
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