研究課題
平成31年度はPPARαによるDNA脱メチル化関連因子を探索する目的で、CRISPR-Cas9を用いたV5-tagノックインPPARαマウス(V5-PPARα)を作製することに成功した。V5-PPARαの発現をリアルタイムPCRで確認した。乳仔期のV5-PPARαマウスにPPARαリガンドを刺激し、PPARαの標的遺伝子Fgf21の発現上昇が見られ、V5-PPARαは機能的に働いていることを検証した。今後は抗V5抗体を用いた免疫沈降および質量分析を行う。PPARαはリガンドに活性化されると、転写共役因子とともにDNA脱メチル化複合体を標的遺伝子にリクルートしDNA脱メチル化を引き起こすことが想定され、PPARαの転写共役因子であるPGC1αがDNA脱メチル化に関与している可能性を探った。PGC1α肝臓特異的PGC1α欠損マウスを作製し、生後直後からPGC1αの発現が欠損したことを確認した。野生型に比べ、PGC1α欠損マウスの肝臓においてはDNAメチル化が亢進した。これらの成果を2019年度生命科学系学会合同年次大会で発表した。さらに、Fgf21遺伝子の脱メチル化が直接代謝表現型に影響を及ぼしているかを検討し、CRISPR-dCas9-TET1CD系を用いてマウス肝臓細胞株Hepa1-6およびPPARαKOマウス肝臓へのFGF21遺伝子特異的DNA脱メチル化の導入に成功した。Fgf21特異的DNA脱メチル化状態はPPARαリガンドや飢餓の刺激による遺伝子の発現応答性を規定した(Hanzawa N, Yuan X,et al, Targeted DNA demethylation of the Fgf21 promoter by CRISPR/dCas9-mediated epigenome editing. Sci. Rep. 10: 5181, 2020)。
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Scientific Reports
巻: 10 ページ: 5181
org/10.1038/s41598-020-62035-6
巻: 9 ページ: 19601
org/10.1038/s41598-019-56039-0