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2018 年度 実施状況報告書

介入による消化器癌周術期高齢者機能の改善と機能低下に影響するバイオマーカー探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K01841
研究機関名古屋大学

研究代表者

田中 千恵  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50589786)

研究分担者 神田 光郎  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00644668)
小寺 泰弘  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10345879)
室谷 健太  久留米大学, 付置研究所, 准教授 (10626443)
柳川 まどか  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50566982)
藤原 道隆  名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (70378222)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード消化器癌手術 / 胃癌手術 / 高齢者機能評価 / せん妄 / 認知症
研究実績の概要

消化器癌術前、退院時、6カ月時にCGA(ADL、栄養、精神機能、社会的要因)の評価を行った。昨年の評価では、経時的に抑うつ状態を表すGDS15、栄養指標であるMNAの悪化を認めていた。抑うつ状態については傾向にばらつきが多い特徴が見られた。癌手術の後遺症として摂食状況の悪化が挙げられるため、栄養に関するスコアは著明に悪化していた。胃切除術後は経口摂取が低下することが後遺症として知られており、この影響と思われた。
本年、さらに症例(n=40)の集積および解析を進めた。上記結果に加えて新しい知見を得た。患者背景において、潜在的に不適切な処方(PIMs)がされている症例は63%であった。術後合併症は全gradeで27%、うちClavien-Dindo IIIa以上は7%であった。術後せん妄を認めた症例は15名(38%)であった高齢者機能評価に関して、BADL、IADLは経時的に統計学的な差は認めないものの、ADLが悪化する症例は歩行、階段昇降が低下、買い物、服薬の管理、食事の自宅、洗濯の能力が低下していることがわかった。錯乱スコア(NEECHAM)、認知機能検査(MMSE、CDRーJ)は経時的に有意に悪化を認めなかったが、認知機能が術後に低下している症例は7/40例であった。
さらに術後合併症の有無によるADLの低下に差を認めるかどうか検討した。SSIの有無でADLの低下に差は認めなかった。しかし、全合併症の有無でADLを比較すると、退院時のBADLは合併症がある症例で有意に低下していた。これは退院前にてんかんを発症した症例を認め、この影響が考えられた。
さらに、術式別の高齢者機能評価の差、高齢者機能評価低下症例の詳細な解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

症例集積は順調に進んでいる。周術期における高齢者機能評価を前向きに行った報告はない。本年中にこれを報告する予定である。これにより、手術による高齢者機能の悪化の有無、詳細、術式ごとの機能評価の推移、フレイル症例に対する手術の影響が明らかとなる。また、通常外科医師が行う術前評価と高齢者機能の解離を確認し、通常外科医師が高齢者に対して行う術前評価の問題点を抽出する。さらに周術期の認知症の悪化につながるバイオマーカーの測定も進んでおり、近日中に解析する予定である。

今後の研究の推進方策

今後はバイオマーカーの解析を行い、周術期に認知症を来す予測因子の抽出を行う。また、老年内科、認知症専門医師の介入による有効性を評価する。

次年度使用額が生じた理由

初年度の症例集積の遅れを本年度中に取り戻す事は出来たが、せん妄を予測するためのバイオマーカー測定など研究に必要な資金の一部、成果の発表、論文作成などにかかる経費が未使用となった。引き続き行うバイオマーカー測定、成果発表・論文投稿に使用する。

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公開日: 2019-12-27  

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