研究実績の概要 |
75gの経口糖負荷試験を行った203人(男性76人、女性127人、平均年齢54歳)を対象に、多機能インピーダンス法を用いた身体測定データや血液データ測定を行い、併せてライフコーダを用いて1週間の運動解析を行った。血中細胞外小胞 (EV)数は、フローサイトメトリーにて測定した。 運動量の解析において、低強度運動量 (<4 METS) は、BMI, 体脂肪率、収縮期及び拡張期血圧、中性脂肪と有意な負の相関を示し、HDL-コレステロール (HDL-C) とは有意な正の相関を示したことより、強度の低い運動であっても肥満や脂質代謝の改善に寄与していることが示唆された。また中~強強度運動量(4~9 METS)は HOMA-Rと有意な負の相関を認め、比較的強い運動がインスリン抵抗性の改善改善に寄与していることが示唆された。 血中EV数は女性と比較して男性の方が有意に高く (p<0.001)、TGが上昇した人で有意に高い (p<0.001) ことが明らかとなった。 スペアマン解析により、血中EV数は骨格筋量を含む様々なメタボリック因子と相関することが明らかになり、BMI, 骨格筋量, ウエストヒップ比, 収縮期及び拡張期血圧、ALT, γ-GTP, 総コレステロール, 中性脂肪, 空腹時血糖, 及び HOMA-Rとは正相関し、HDL-Cとは逆相関が認められた。これらの中で最も強い相関を示したのは中性脂肪 (ρ=0.597, p<0.001) であり、HOMA-RとHDL-Cとも強い相関を示した。 重回帰分析により血中EV数と有意に相関する因子を解析したところ、全体では中性脂肪とHOMA-β、男性では中性脂肪のみ、女性では中性脂肪とHOMA-βであった。また、健常者では中性脂肪と骨格筋量であり、健常者においてのみ血中EV数と骨格筋量との相関が認められた。
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