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2017 年度 実施状況報告書

筋小胞体膜タンパク質MG23とMG56の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K01845
研究機関京都大学

研究代表者

西 美幸  京都大学, 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特定准教授 (60183894)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードカルシウム / 骨格筋 / 小胞体
研究実績の概要

MG23の研究成果としてReilly-O'Donnell B et al. J Biol Chem. 2017を発表した。イギリスの共同研究者Dr. Pitt とのMG23の共同研究は10年以上前から続いている。最近彼女はMG23が心臓の病的状態下で亜鉛により活性化されること、そして活性化されたMG23がカルシウムを透過させることにより 心臓の病的状態をさらに増悪させることを見出した。我々のノックアウトマウス単離心筋細胞を使った実験でも彼女の説が裏付けられ共著論文として発表した。
MG23ノックアウトマウスの筋肉で発現が上昇しているタンパク質Gm7325)を見出し、2017年6月に論文発表、2018年2月の米国生物物理年会においてポスター発表を行った。Gm7325は発生、再生期の筋肉で発現が急上昇する、MyoD転写因子の制御下にあることを発表した。さらなるGm7325の生理機能解明をめざしてドキシサイクリン誘導型Gm7325マウスを作製した。まずは誘導後の筋肉の状態を解析し、次に障害を与えた時の筋肉の状態を比較解析する予定である。
Mg23ノックアウトマウスは当初I129系とC57BLのF1を使用していた。従って、純系とは言えず、新たにC57BL純系のMg23及びBri3bpノックアウトマウスを作製した。これにより、ジェネティックバックグラウンドを気にすることなく実験できるようになった。はじめに作製したノックアウトマウスとの比較を並行して進めている。
MG56ノックアウトマウスは2週間以内に死亡するため、培養細胞(C2C12)系での発現実験も進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Mg23及びそのファミリー遺伝子Bri3bpのノックアウトマウスを作製し、そのダブルノックアウトマウスも交配により作製し現在実験に向け拡大交配中である。まずは先に進められるMg23単独ノックアウトマウスの実験を行っている。Mg23単独ノックアウトマウスはイギリスの共同研究者の知見により心不全時の心臓において保護的に働くという仮説が立つ。先の共同研究は、細胞レベルで得られたデータであったため、今度は生体マウスへ薬物投与、物理的に心臓に負荷をかけワイルドタイプとの差を検証中である。ノックアウトマウスの樹立が律速して実験の遂行がやや遅れているが、これからはスピードアップができると思われる。
MG56を幼弱な筋肉の培養細胞であるC2C12に導入し、導入していない株と筋肉への分化過程におけるタンパク質発現の差をみることでMG56の機能を検討しようとしているが、MG56導入株がなかなか得られず苦労している。

今後の研究の推進方策

Mg23, Bri3bp, ダブルKOの全てのマウスが実験に向け交配を続けている。まずMg23単独ノックアウトマウスで差があるようにみえる薬物投与の実験匹数を増やして結果を検証する。さらに、組織学的所見、RNA,タンパク質発現を検討する。ダブルKOマウスでも同様の薬物投与を計画している。また我々の実験室ではエコーの装置がない、心筋細胞の単離ができない。そのためマウスを輸送しての共同研究を計画している。これにより詳細な心臓の機能実験が組めると期待している。
MG56のC2C12への導入はまだ導入株が得られていないが、MG56の何らかの機能が幼弱な筋培養細胞に対して毒性を発揮していることも考えられるため、誘導型発現や一過性発現を試すことを検討している。

次年度使用額が生じた理由

ノックアウトマウスの繁殖がやや遅れ、実験が先送りとなった。今後は充分なマウスが育ってきたので試薬を購入して実験を遂行する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Dysregulated Zn2+ homeostasis impairs cardiac type-2 ryanodine receptor and mitsugumin 23 functions, leading to sarcoplasmic reticulum Ca2+ leakage.2017

    • 著者名/発表者名
      Reilly-O'Donnell B, Robertson GB, Karumbi A, McIntyre C, Bal W, Nishi M, Takeshima H, Stewart AJ, Pitt SJ.
    • 雑誌名

      J Biol Chem.

      巻: 292 ページ: 13361-13373

    • DOI

      10.1074/jbc.M117.781708.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Dampened activity of ryanodine receptor channels in mutant skeletal muscle lacking TRIC-A.2017

    • 著者名/発表者名
      El-Ajouz S, Venturi E, Witschas K, Beech M, Wilson AD, Lindsay C, Eberhardt D, O'Brien F, Iida T, Nishi M, Takeshima H, Sitsapesan R.
    • 雑誌名

      J Physiol.

      巻: 595 ページ: 4769-4784.

    • DOI

      10.1113/JP273550.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Gm7325 is MyoD-dependently expressed in activated muscle satellite cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Takei D, Nishi M, Fukada S, Doi M, Okamura H, Uezumi A, Zhang L, Yoshida M, Miyazato M, Ichimura A, Takeshima H.
    • 雑誌名

      Biomed Res.

      巻: 38 ページ: 215-219.

    • DOI

      10.2220/biomedres.38.215.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] GM7325 Transcription is regulated by nyoD in activated muscle satellite cells.2018

    • 著者名/発表者名
      Takei D, Nishi M, Fukada S, Doi M, Okamura H, Uezumi A, Zhang L, Yoshida M, Miyazato M, Ichimura A, Takeshima H.
    • 学会等名
      62nd annual meeting Biophysical society
    • 国際学会
  • [学会発表] Spontaneous Ca2+ Fluctuations mediated by TRPM7 channels2018

    • 著者名/発表者名
      Qian N, Ichimura A, Takei D, Zhu H, Nishi M, Takeshima H
    • 学会等名
      62nd annual meeting Biophysical society
    • 国際学会
  • [備考] 京都大学大学院生体分子認識学分野

    • URL

      http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/biochem/

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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