研究課題
MG23:MG23は我々がクローニングし、1998年に小胞体膜に発現し広範な組織分布をしているということ、2011年に陽イオン透過性のチャネル活性を報告した。小胞体膜上に発現しカルシウムも透過するチャンネル活性を見出したことから、何らかの重要な機能を有していると期待されたがその生理的機能はほとんど不明であった。本研究費での一番の実績は、イギリスのDr. Pittとの共同研究により、MG23は亜鉛により活性化するチャネルであり、心臓が病的な状態(心不全など)に陥ったとき細胞内の亜鉛が上昇することでMG23を活性化してカルシウムの漏出を引き起こすことを報告したことである(JBC 2017)。その後の展開はノックアウトマウス(通常飼育で顕著な表現型なし)に心毒性を有するドキソルビンシン投与で心毒性の軽減が観察されたことである(致死性の低下)。現在はその作用機序の解明を細胞レベルで検討中である。MG56:MG56は小胞体膜タンパク質であり骨格筋、心筋に発現している。ノックアウトマウスは生後1週間まではほとんど正常に発育するが、その後体重増加がみられず生後2週間以内に死亡する。その生理機能は未だ不明であるが、同じファミリーに属するタンパク質は全て脂肪転移酵素活性を有していることからMG56にもその活性が予想されるが、活性部位に存在するヒスチジンが保存されていないため負の制御タンパク質だとの報告もある。MG56の生理機能解明のために、コンディショナルノックアウトマウスを作製した。今後骨格筋特異的、心臓特異的にMG56欠損マウスを作製する予定である。さらに、生細胞内でのタンパク質相互作用を検討する近接依存性標識法のためのベクターの構築を開始した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/biochem/