研究課題/領域番号 |
17K01853
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岸本 裕歩 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (00596827)
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研究分担者 |
秦 淳 九州大学, 医学研究院, 准教授 (00448432)
吉田 大悟 九州大学, 医学研究院, 助教 (10596828)
本田 貴紀 九州大学, 医学研究院, 助教 (30773353)
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | サルコペニア / 認知症 / 高齢者 / 地域住民 |
研究実績の概要 |
日本人地域高齢者を対象にした横断研究および前向き追跡研究によって、サルコペニアと認知症発症の関連について検討した。 横断研究では、2012年の久山町高齢者調査を受診した65歳以上の住民うち、1370名を解析対象者とした。認知症は、Mini-Mental State Examination (MMSE) による一次スクリーニング後、DSM-ⅢRに基づき、精神科医によって診断された。サルコペニアは、四肢の筋肉量、最大握力、5m最大歩行速度を測定した後、アジア基準をもとに判定した。その結果、Non-sarcopenia群に対するSarcopenia群が認知症を有するオッズ比は、調整なし、性・年齢調整、および他の認知症の危険因子を調整した多変量調整後も、なお関連は有意であった(オッズ比:1.90、95%信頼区間:1.06-3.44、p=0.03)。 次に、前述の集団の追跡調査の成績を用いて、サルコペニアと認知症発症の関連を検討した。2012年に認知症がない65歳以上の住民1249名を2017年まで5年間前向きに追跡した。その結果、追跡期間中に124名が認知症を発症した。Sarcopenia群の認知症発症のハザード比は1.70(95%信頼区間:0.91-3.15、p=0.09)と、Non-sarcopenia群と比較して高かったが、有意差を認めなかった。性・年齢、および他の認知症危険因子で調整しても、この関連は変わらなかった(多変量調整ハザード比:0.67、95%信頼区間:0.33-1.36、p=0.27)。 以上の結果から、我が国の地域高齢住民において、サルコペニアを有する者は有しない者に比べ、認知症を有する頻度は有意に高かった。しかしながら、追跡調査の成績においてサルコペニアと認知症発症の間に有意な関連を認めなかった。
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