研究課題/領域番号 |
17K01854
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 講師 (00423715)
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研究分担者 |
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 助教 (10457624)
柴田 洋孝 大分大学, 医学部, 教授 (20245484)
加隈 哲也 大分大学, 保健管理センター, 准教授 (80343359)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 認知機能 |
研究実績の概要 |
肥満や糖尿病は増加しており重要な健康課題である。併せて我が国では高齢化社会を反映して認知症も増加している。また肥満や糖尿病が原因で認知機能の低下へ繋がる可能性が指摘されている。しかし肥満や糖尿病あることでなぜ認知機能の低下が起こるのか、またどのような認知機能に関連する因子群に影響するのかについての解析は未だである。我々は肥満糖尿病患者においてインスリン抵抗性が大脳の白室病変に関係していることを報告してきた。また大脳白室病変と併せて低アディポネクチン血症が脳内の海馬の委縮とも関係していることも報告してきた。その後他の報告ではアディポネクチンの他にもレジスチンなど幾つかの脂肪由来因子が脳へ作用し認知機能に影響を及ぼす可能性が示唆されている。しかし肥満症が実際に認知機能を変化させうるのか、またどのような脳内の神経因子群が認知症と関連しているのか、詳細な機序の解明については未だ不明な点が多い。そこで今回の研究では肥満症により変化する新規の認知機能関連の脳内の因子群の抽出と解析を行い、認知機能を変化させる機序について明らかしていく。具体的な実験として肥満症のモデルを用いて脳内の認知機能関連の因子の解析を行い、肥満症が認知機能に及ぼす影響について解明することである。昨年度は肥満症モデルとして代表的な肥満症モデルである食事誘導性の肥満症マウスと併せて制限給餌で減量させた肥満マウスを作った。今年度はそれらの各モデルにおける認知機能生理学的検査の一つであるY字迷路の解析を行った。具体的には通常食群、肥満症群また制限給餌群を5分間、Y字迷路へ挿入して自発行動量と空間作業記憶について解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肥満症モデルとして代表的な肥満症モデルである食事誘導性の肥満症マウスと併せて制限給餌で減量させた肥満マウスを作成した。今年度もマウスを通常食群、高脂肪食を3ヶ月ほど負荷した肥満症群また肥満症群の最後の1ヶ月の制限給餌で肥満を一部改善した減量群の3群に分け実際の認知機能についてそれぞれ解析した。それらの各モデルにおいて認知機能生理学的検査の一つであるY字迷路の解析を行った。通常食群、肥満症群また制限給餌群を5分間、Y字迷路へ挿入して自発行動量と空間作業記憶の2つの視点より解析したが、通常食群、肥満症群また制限給餌群の間で差異は認めなかった。自発行動量が8回前後であり空間作業記憶が全体的に50%前後と他の報告に比較すると低めであった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は少しデザインを変えて同様には肥満症群また制限給餌群を少し長めに8分間、Y字迷路へ挿入して自発行動量と空間作業記憶の視点より解析する。自発行動量が8回前後、空間作業記憶が全体的に50%前後と他の報告に比較すると低めであったため暗期後より、活動期に入る暗期前位に時間設定を変更する。各モデルにおける肥満度との関連など併せて、さらに各群の認知知能の解析継続と脳内因子の解析を行い学会発表へと進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
肥満症モデルにおける認知機能生理学的検査であるY字迷路の解析がうまく予備実験の時のように検討ができず予想より時間を要しており、未使用額が発生している。また補助事業の目的をより精緻に達成するために学会参加や論文投稿費用などへも結び付けたい。
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