研究課題
研究実績の概要として高齢者を中心にアルツハイマー型認知症など認知症が増加している。認知症で肥満が原因で認知機能の低下へ繋がる可能性が報告されているが肥満があることでなぜ認知機能の低下が起こるのか、またどのような因子が関係するのかについては不明である。我々は肥満糖尿病患者においてインスリン抵抗性の指標のHOMA-Rが大脳の白室病変に関係していることを報告した。また大脳白室病変と脂肪由来因子のアディポネクチンが海馬萎縮とも関係していることも報告してきた。その後他の報告でもアディポネクチンは脳へ作用し認知機能に影響を及ぼす可能性が示唆されている。しかし肥満症がどのような認知機能を変化させうるのか、また他にどのような因子群が認知症と関連しているのかは未だである。そこで今回の研究では肥満症により変化する因子の解析を行い、認知機能を変化させる機序について解析した。研究内容としてまず肥満モデルとして代表的なモデルである60%高脂肪食誘導性の肥満症マウスと併せて1日の接触量を制限して減量させた肥満マウスと通常食群のマウスを作った。それらの各モデルにおける認知機能生理学的検査の一つである受動的回避検査を行った。受動的回避解析はマウスの記憶能力を測定することが可能である。通常食群、肥満症群また制限給餌群を受動的回避装置へ挿入して刺激後の暗室に入る潜時について解析した。通常食群、肥満症群また制限給餌群を、受動的回避装置へ挿入して潜時の視点より解析した所、肥満症群と制限給餌群、通常食群間の比較で肥満症群において潜時の短縮所見と脳組織内の腫瘍壊死因子の上昇を認めた。
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Obesity Science and Practice
巻: 4 ページ: 91-99