研究課題/領域番号 |
17K01856
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
竹島 伸生 朝日大学, 保健医療学部, 教授 (00137126)
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研究分担者 |
楠 正暢 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20282238)
藤田 英二 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (50506300)
小濱 剛 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (90295577)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 老化 / リハビリテーション / 高齢者 / 自立度評価 / オプティカルセンサー / ADL |
研究実績の概要 |
今年度は,ADLの客観的指標の作成を目指しKINECTv2を用いて虚弱者(又は要介護者)(DG: n=90, 平均年齢77.4±8.3歳)と健常高齢者(IG: n=312, 平均年齢79.3±5.0歳)の基本的動作のうち椅子からの起居時の体幹角度(腰―肩の垂直線に対する体幹の傾き)を調べ, 虚弱者の動作の特徴(DG: 29.3±8.3°; IG : 19.5±6.5°となり,明らかに虚弱者の体幹角度が大きいこととROC解析から虚弱者と健常者の体幹角度のカットオフ値23.1°(感度79%,特異性73%))が得られた。この成果は[Development of simple, objective chair-standing assessment of physical function in older individuals using a KinectTM sensor]と題する論文としてJournal of Frailty & Aging (France)に投稿し,採択通知を受けた(印刷中)。これは主に下肢筋機能による影響による相違と想定される。 次に基本的動作として20秒間足踏み(マーチテスト)を取り上げた。これは,動的バランス能が評価でき,かつ虚弱者のADL評価指標となりうるという仮説によるものであるが,起居動作と同様に健常者と虚弱者の動作の相違とカットオフ値について検討した。現在までに75人の測定を完了し,20秒間のマーチテストの中で後半10秒の頭部の最大移動量を解析したところ,IG群が174.4±60.0mm,DG群が232.4 ± 88.2mmと両群に有意差がみられた。虚弱者と健常者のカットオフ値(ROC解析から185mm(感度78%,特異性61%)という結果を得た。本結果は,2019年度アメリカスポーツ医学会年次大会(オーランド)にて公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Kinectv2を用いて,起居動作およびマーチテストによる虚弱者の動作の特徴を調べ,起居動作については研究論文の発表が実現できた(Journal of Frailty and Aging, 印刷中)。またマーチテストについても虚弱高齢者の動作のカットオフ値の推定も示すことが可能という結果が得られ,2019年5月末におこなわれるアメリカスポーツ医学会(オーランド,フロリダ)で公表を予定しており,こうした点では順調に研究が進んでいる。しかし,全体の目標であるキネクトを用いた虚弱者のADL自立度評価のスクリーニングシステムの開発に関して言えば得られたデータ数が十分とは言えず,最終年度となる3年目に東京都長寿医療センター金経憲先生らの協力を得て東京都内の在住高齢者を対象に測定を計画している。できれば2年目に測定を完了したかったことを考えればこの点は遅れが生じているという見方もできる。しかし,最終年度の3年目には研究を遂行できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,3年計画であるが,このうち前半2年間で試作したKinectv2を用いたADL自立度評価法の作成の中で,椅子からの起居動作と20秒間のマーチテストの双方から虚弱者と健常者のカットオフ値を求め,オプティカルセンサーを利用した自立度評価法を試案としてまとめ,公表した。しかし,ノルムを作成することが大きなならいであるが,現時点では500人程度の測定が終わった状況であり,データ数としては不十分といえる。最終年度は,東京都長寿医療センターの協力を得て,2019年9月に東京都民を対象に1000人程度高齢男女を対象に測定を試み、評価尺度の確認と有効性の実証とともに研究の完成を図りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に実施を計画していた虚弱者から健常者にいたる高齢者に対するキネクトによるADL評価の測定が予定よりも少ない状況となった。このため最終年度となる2019年9月に東京都内で1000名を超える測定の計画を検討している。この測定には東京都長寿医療センター金先生の協力を得て実施する。
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