研究課題/領域番号 |
17K01858
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
南山 幸子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00362989)
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研究分担者 |
竹村 茂一 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00322363)
岡 真優子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40347498)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肝硬変 / GFPラット / 骨髄細胞移植 / アリルシステイン / マクロファージ分極 |
研究実績の概要 |
Ⅰ.肝線維化モデル(CCl4反復投与)におけるSAGおよびBMC移植による線維化改善の相乗効果の検討 ラットにCCl4を週2回反復投与し、その4週後にGFP発現ラット(グリーンラット)から採取した骨髄細胞(BMC)を1 x 104, 1 x 105, 3 x 106個/ratを尾静脈より移植した。SAG(20, 60, 200 mg/kg)は飲水で投与を開始した。BMCおよびSAGの併用投与も行った。CCl4投与開始から9週間での肝切片の線維化形成や肝組織のヒドロキシプロリン量を解析評価すると、SAG, 骨髄細胞それぞれ単独では用量依存性に肝線維化を改善した。BMCおよびSAGの最も少ない量では単独効果が見られず、両者併用投与でもほとんど肝線維化を改善しなかった。また、単独でも肝線維化を有意に改善した高用量では、それらを併用しても線維素のさらなる改善効果はなかったが、Col1A1 mRNAの低下は単独投与よりも亢進することが判明した。これより、さらに観察すればBMCとSAGの併用投与は線維素形成をより低下させることが示唆された。今後は、その他併用効果を示す指標がないかどうかを含めて採取したサンプルの解析を継続したい。具体的には、GFPラットの骨髄細胞を肝線維化モデルに投与することによりKφ細胞の由来と表現型を解析し、肝組織切片を用いて、F4/80(Mφ抗体)とGFP抗体で二重染色することにより共局在するかどうかなどKφ(Mφ)細胞の由来を評価する予定であったが、GFP発現BMC投与1時間後の肝GFP発現タンパクは投与量依存性に増加したが、24時間後にはその発現はほぼ消失した。よって、肝硬変を評価する時点の肝臓ではマクロファージの由来を解析することは困難であると結論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BMCの細胞数とSAGの投与量の併用において、相乗効果を示す至適投与量の探索ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Ⅱ.SAGとBMC併用投与における(Ⅰの実験より)MΦ動態の解析(継続) 継続してサンプル解析を行う。M2指標抗体(mannose受容体、Arginase 1、PPAR-γなど)を用い、Western blotにて解析する。また、BMC投与2週間以降で文献的に発現が報告されているG-CSF、IL-1βはM1指標であるので、これについてもMΦを認識するF4/80抗体とM1指標抗体で確認し、BMC投与とSAG投与の抑制機構の違いについて検討する。さらに、定量的リアルタイムPCRにてM1、M2指標となるmRNA解析を行う。その他必要に応じてM1, M2(M2a, M2b, M2c)の指標を【Gordon S. et.al. Nature Rev. Immunol 2005参照】解析する。
Ⅲ. Ⅱの結果を踏まえて肝硬変時のM1、M2分布がBMCとSAGで変化するかどうかとその局在を免疫染色で検討する。 IV. SAGのマクロファージ分極に対するマイクロアレイを行い、その発現に変化のあった遺伝子についてタンパクレベルで検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定の試薬調達が遅れたため、次年度に購入予定である。
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