研究課題/領域番号 |
17K01858
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
南山 幸子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00362989)
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研究分担者 |
竹村 茂一 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00322363)
岡 真優子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40347498)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肝線維化治療 / マクロファージ分極制御 / 骨髄細胞移入 |
研究実績の概要 |
申請者らは肝硬変の治療は困難であり、安全な治療法の開発が急務であるため、その解決を目指して実験を行ってきた。 昨年度までの結果で、ラットの四塩化炭素肝線維化をBMCもSAGも有意に抑制するが、その機序の違いは不明であった。SAGはマクロファージの分極制御に関与するため、ラットの骨髄細胞から分化させたマクロファージ (BMDM)を用いて、LPS+IFN-gammaを添加しM1へ分極させたマクロファージおよびIL-4+IL-13を添加してM2へ分極させたマクロファージについて未刺激(M0)のものと比較して差があった遺伝子群でSAGがM0へシフトさせる遺伝子を解析するといくつかの経路が考えられたため、本モデルにおいてそのタンパクレベルで確認した。CCl4投与ではADAM23が著明に増加し、スフィンゴ脂質の律速酵素であるSerinepalmitoyl transferase (SPT)が減少した。BMC投与でそれらは抑制できずSAG投与で有意に抑制された。BMDMのDNA microarrayからもM2様マクロファージにおいてSAG添加でADAM23の増加とSPTの減少が抑制されていたことからマクロファージを介した抑制が推察されること、また、活性酸素(ROS)でADAM12などが誘導されることから、同様にSAGはTGF-βによるROS産生系を抑制している可能性がある。SPTの変動の病態生理学的意義については現在検討中である。以上の知見より、BMC移入もSAGの投与も肝線維化を抑制できるが、その機序は異なるため、SAGとBMC移入を併用投与することで患者負担を軽減するとともに、異なる機序による肝線維化の制御が可能となり、臨床応用が期待される。
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