研究課題/領域番号 |
17K01863
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研究機関 | 郡山女子大学 |
研究代表者 |
高橋 徹 郡山女子大学, 家政学部, 准教授 (80324292)
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研究分担者 |
久保 金弥 名古屋女子大学, 家政学部, 教授 (00329492)
安細 敏弘 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80244789)
小野塚 実 神奈川歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (90084780) [辞退]
徳永 美希 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (90610238)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 咀嚼物 / 粘度 / 飯 / 食後血糖 |
研究実績の概要 |
厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」の平成26年調査によると、我が国の糖尿病の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は、316万6,000人で、前回の調査よりも46万人以上増加している。食後高血糖は体組織に変性や細胞死を惹起し、癌発症リスクの上昇や認知機能障害など、さまざまな合併症を引き起こすことから、食後血糖コントロールの方法論の確立はきわめて重要な課題である。これまで、申請者らは、因果関係の解析手法であるベイジアンネットワークを用いることで、食後血糖値緩和作用には小腸内容物の自由水含量が強く関わっていることを明らかにした(高橋ら、基盤C2014-2016年度)。小腸内容物中の自由水は、唾液分泌の影響の他、胃液や膵液分泌の影響が考えられるが、分泌量が多い唾液に着目し、当初予定していた通りにヒト試験を実施した。 飯の水分含量と咀嚼物の粘弾性の関係を明らかにすることを目的とした。水分含量を米重量に対して1.2倍、1.5倍、1.8倍の水を添加して炊飯した飯を作成した。それぞれの飯を咀嚼回数25回、咀嚼速度1.43 counts/sで咀嚼して咀嚼物を採取した。咀嚼物の物性を自作の菅流粘度計で測定した。また、それぞれの飯と咀嚼物の水分および自由水も測定した。自由水は拭き取り法で行なった。 飯の水分含量は、1.8倍加水飯>1.5倍加水飯>1.2倍加水飯の順に低下した一方で、咀嚼物の水分含量は1.8倍加水飯=1.2倍加水飯>1.5倍加水飯の順であった。唾液分泌は1.2倍加水飯を咀嚼した際に多くなることが示された。咀嚼物の物性は1.5倍加水飯の飯が高い値が認められたが、いずれ試験区も近い値が認められた。これまでの結果から、1.5倍加水飯の飯を摂取した際の食後血糖値が最も高いことが明らかである。1.5倍加水飯の咀嚼物の低い水分率と、食後血糖値が関連しているかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進行しているため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
胃内容物の水分含量と食後血糖との関係を動物実験とin vitro試験で明らかにすることを目的とする。 AIN-76のセルロースをショ糖に置き換えた試料を対照試料とする。それに、セルロース5%添加を添加した試験飼料も設定する。以上の試料を1週間摂取したラットの胃、小腸、盲腸内容物を採取し、自由水含量、水分含量、粘度を測定する。セルロース添加が消化管内容物の自由水や粘度に与える影響をベイジアンネットワークを用いて明らかにする。 自由水含量をカルボキシメチルセルロースナトリウムで調整した水溶液を対照モデル内容物として、セルロース70 g/L添加、セルロース100 g/L添加したモデル内容物とする。以上のモデル内容物中のグルコースの拡散係数、モデル内容物の自由水含量および粘度を測定する。グルコースの拡散係数がモデル内容物の粘度と自由水のどちらにより強く影響を受けているかをベイジアンネットワークにより明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費を使用せずに研究データ収集に成功したため、人件費・謝金を物品費に振り分けることとした。
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