研究課題/領域番号 |
17K01866
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
加園 恵三 城西大学, 薬学部, 教授 (90177387)
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研究分担者 |
加藤 勇太 城西大学, 薬学部, 助教 (20792170)
竹之内 康広 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30582233)
大竹 一男 城西大学, 薬学部, 准教授 (50337482)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知機能低下予防 / 認知機能 / 認知症 / BDHQ / ADAS-jcog / HDS-R / MMSE / 低栄養 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、高齢者の食事栄養状態および認知機能の状態について初期調査を行った。(Ⅰ)方法:1)対象者33名(男性17、女性16)。2)栄養調査 簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた。3)認知機能検査 ①改定長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)、②Mini-mental State Examination(MMSE)、③Alzheimer’s Disease Assessment Scale-cognitive component- Japanese version(ADAS-Jcog)の三種類を用いた。(Ⅱ)結果:1)栄養調査結果;本研究の被験者と平成27年国民健康・栄養調査(厚生労働省)の結果に大きな差がないことが判明した。2)認知機能検査結果;認知機能検査ではそれぞれ、年齢が上がるにつれ悪化する傾向が見られた。 HDS-RとMMSEでは相関係数は有意ではないが、ADAS-Jcogと年齢では、r2=0.381(P≦0.001)の強い相関が見られた。3)栄養調査と認知機能検査値の関連;ADAS-Jcog値との相関について、強い相関があるもの (r2≧0.5, P<0.05) はないが、弱い相関関係があるもの(r2≧0.16, P<0.05)として、年齢 (r2=0.3583, P<0.001)、n-3/n-6系脂肪酸摂取比率 (r2=0.2285, P<0.01)、食塩相当量 (r2=0.1787, P<0.05)、などが確認できた。(Ⅲ)考察:認知機能検査ADAS-Jcogの値は年齢との強い相関が見られた。ADAS-Jog値に対して年齢以上の強い影響を認めるものはないが、一部の栄養素の摂取比率や食塩摂取量などが認知機能との関連を認めた。一部の結果については、先行研究の結果とは相反する結果が得られた。今後症例数を増やし、認知機能の年次推移を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力いただける患者数は1年目で30名以上に達した。1回目のBDHQによる栄養調査も実施し、そのデータの解析結果も出ている。認知機能については、当初の予定通り、HDS-R、MMSE、ADAS-jcogの3通りの検査が実施できている。研究施設の協力体制も整っており、複数の言語聴覚士および作業療法士が認知機能検査にあたっている。現在、テゾン群と麦茶群の2群の研究協力者には、ごく少数を除いて順調に研究協力を継続していただいている。新規の研究協力者も増えており、2年目(平成30年度中)には50名に達すると思われる。以上より、当研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、上記の研究協力者を2群に分けて、テゾン(サワー風味)を摂取する「微量栄養素補充群(テゾン群)」と麦茶を摂取する「コントロール群(麦茶群)」とした。振り分けは、くじ引き形式でランダムに振り分けた。すでにこれrの協力者はテゾンまたは麦茶を摂取している。テゾン(微量栄養素補給飲料 テルモ社製品)または麦茶(伊藤園;健康ミネラル麦茶 こども麦茶)の摂取は、毎週3本、月曜、水曜および金曜に摂取する。これにより、テゾン摂取群は、多くの微量栄養素の1日必要量のおよそ15%が追加補充される。約1年経過後の認知機能について、その変化量(変化率)を検討する予定である。また、アンケートによる生活習慣調査も実施し、生活習慣と認知機能の関連についても検討する。栄養調査は毎年実施し、何らかの栄養摂取不足のある確率が高い研究協力者を選んで、テゾン群と対照群(次回は麦茶を使用しない予定)の認知機能の推移を検討する。さらに頭部MRIによって評価される脳委縮と認知機能の関連についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は計画通り進行しているが、諸経費でわずかな残額が生じました。残額については、平成30年度に、認知機能検査、頭部画像診断等の委託検査費用に回す予定です。
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