研究実績の概要 |
【背景】痩せた日本人女性(BMI <18.5kg/m2)は、糖尿病発症リスクが高いことが報告されているが、痩せた IGTの病態は不明である。【目的】痩せた閉経後女性のIGTの病態を明らかとする。【方法】対象は、健常な痩せた閉経後女性13名(IGT群, n=9 vs NGT群, n=4)。ダブルトレーサー法を用いた75gOGTTを行い、EGP、経口摂取された糖の出現率 (Ra-Oral; rate of appearance of oral glucose load)、糖消失率 (Rd; rate of disappearance)をそれぞれ算出し、NGT群とIGT群の群間比較を行った。【結果】IGT群ではNGT群と比較し、75g糖負荷後120分間のRdの曲線下面積が有意に低値(1293.5±208.1 vs. 1683.9±370.0 mg/kg FFM, P<0.05)であった。実際に糖消失量(主に骨格筋糖取り込みを反映)を算出すると、75g糖負荷後の120分間でIGTではNGTに比べ約18g消失量が少なかった(39.8±9.5 vs. 57.4±14.4 g, P<0.05)。その一方でEGPの曲線下面積、Ra-Oralの曲線下面積は両群間で同等であった。また、IGT群はNGT群と比較して、インスリン濃度曲線下面積が有意に低値(2.6±0.8 vs. 4.8±0.9 U·min/ml·103, P<0.01)で、Rdの曲線下面積とインスリン濃度の曲線下面積は強い正の相関 (r=0.70, P<0.01)を示した。【考察】本研究の結果、痩せた閉経後女性のIGTにおける高血糖の主因はRdの低下であり、標準体重者や肥満者とは病態が全く異なることが示された。また、IGTにおけるRdの低下はインスリン分泌の低下が関与している可能性が示唆された。
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