研究実績の概要 |
短期間の高脂肪食摂取による非肥満健常日本人男性のインスリン感受性や腸内細菌叢に及ぼす影響の検討を目的とした。21人の非肥満、健常日本人男性を対象として、標準食6日間摂取後、6日間の高脂肪食摂取(オフトクリーム約2パック 320g/1000kcal、飽和脂肪酸60-70%程度及び、一価不飽和脂肪酸30%程度を含有、組成:脂質約48%、炭水化物:約40%、タンパク質:約12%)の負荷を行った。標準食と高脂肪食時で高インスリン正常血糖クランプ法により、インスリン感受性を評価し、また、便中の腸内細菌叢の解析を行うとともに、血液中のリポポリサッカライド結合タンパク(LBP)の濃度を測定した。LBPはグラム陰性桿菌の成分であるリポポリサッカライドと結合し、血液中を循環し、エンドトキシン血症の程度を示すマーカーである。その結果、高脂肪食負荷後で血液中のLBPは有意に上昇した(4.9±0.7 vs.5.6±0.7ng/mL、P<0.01)。また、脂肪食負荷前のバクテロイデス門の占有率はインスリンクリアランスと筋肉でのインスリン感受性と負の相関関係を示した。さらに、高脂肪食の負荷によりアクチノバクテリア門の占有率が有意に上昇し(6.89±0.05 vs. 9.73±0.06%, P<0.01)、肝臓及び筋肉でのインスリン感受性は低下した。短期間の高脂肪食は腸細菌叢を変化させ、代謝性エンドトキシン血症を増悪させ、インスリンの感受性を低下させた。
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