研究課題/領域番号 |
17K01873
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
佐藤 耕平 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00409278)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 脳循環 / 電気刺激 / 認知機能向上 / 運動トレーニング |
研究実績の概要 |
本年度は,当初の予定通り実験Ⅰ「EMSによる代謝変化が脳血流応答に及ぼす影響を若年健常人での検討」を実施した。実験Ⅰでは若年被験者(女性)10名に対し,EMSを実施し脳血流の応答を測定・先行研究での自発運動と比較する基礎資料を得ることを目的とした。実施したEMSは①レジスタンストレーニングと②有酸素運動を模した2条件のEMSを大腿部に行った。その結果,レジスタンストレーニングモードは,脳血流の亢進は認められなかったが,有酸素モードでは,脳血流が安静時に比べ約15%増加した。この結果は,脳からの運動指令(セントラルコマンド)がないEMSにおいても,有酸素運動のような刺激においては,脳の代謝の亢進を反映した血流の増加が起こることを示すものであった。しかしながら,先行研究での自発運動に比べると,脳血流の増加は低いことが明らかになった。また,本研究の被験者で下肢の筋量が多い,陸上短距離選手においては,血流の増加が顕著(30%)であった。この結果は,EMSに対する脳血管の反応性は,刺激する筋量や刺激の強度に依存する可能性が示唆された。今後,男性被験者やアスリートを対象に追加実験を行う予定である。その結果をもとに,今後,糖尿病患者などへの応用展開を図る基礎データとする。追加実験は,平成30年度,8月までに完了する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,順調に実験は完了したが,分析および論文作成において予定よりも若干遅れている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は「EMSを用いた糖尿病患者の脳機能改善」を目指した基礎的研究として位置付ける。今後の研究計画は以下の通りである。実験ⅡEMSによる筋収縮様式の違いおよび自発運動との組み合わせ(コンバインド)が脳血流に与える影響を検討する。実験ⅢEMSに対する脳血流応答の性差および加齢の影響を明らかにする。実験Ⅳ脳内の血流応答の不均一性を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた,実験が測定機器故障のため実施できなく,被験者謝金や分析費用,論文作成費などを予定通り執行できなかった。未使用額は次年度に行う追加実験の被験者謝金や消耗品で使用する予定である。
|