研究課題
2019年度は、(1)糖尿病病態を迅速・高感度・低侵襲で診断できる血中分泌型miRNAマーカーの開発を行った。並行して、(2)ゼブラフィッシュを用いた動脈硬化評価法の確立も行った。そして、分注作業を自由にデザインできる自動分注ロボットシステムを導入し、ハイスループットで再現性の高いmiRNA精製と定量的RT-PCRシステムを構築した。(1-a)インフォームドコンセントを得て、健常被験者の追加を行った。すなわち、①血液生化学検査等により、血糖値とインスリン分泌能、脂質代謝能等について評価し健常被験者として選抜した。そして健常者を含む全被験者を、「健常」群、「インスリン抵抗性であるが、糖尿病でない」群、「糖尿病であるが、合併症の併発はみられない」群、及び「糖尿病であり合併症も併発している」群の4群に分類した。各被験者について採血を行い、血清を分離して(1-b)のmiRNA精製に用いた。(1-b)(1-a)で得られた血清から、自動分注ロボットシステムを用いて血清中の全分泌型miRNAを精製するための条件検討を行った。併せて、インスリン抵抗性特異的に発現上昇しかつ絶対量の多い12種類のmiRNAについて、標的遺伝子を予測し、マトリックスを作成した。その結果、これら12種類のmiRNAは、互いに相乗的に動脈硬化やインスリン分泌低下に働きうることが示唆された。この研究成果に対して、第74回日本栄養・食糧学会大会トピックス賞が授与された。(2)これまでに、ゼブラフィッシュ野生型に高脂質食を摂取させた肥満モデルにインドシアニングリーンを注入して血管動画造影を行ったところ、高脂質食摂取群では、普通食摂取群に比べ有意に、動脈硬化巣と考えられる特定部位が高S/N比で検出された。現在(1-b)のmiRNAを阻害するS-TuDの設計を行っており、ゼブラフィッシュに導入して動脈硬化抑制効果を評価する。
第74回日本栄養・食糧学会大会(仙台)にて、演題名「インスリン抵抗性特異的な血中分泌型miRNAの網羅的同定と標的遺伝子予測による、糖尿病と合併症の新たな診断マーカーの探索」に対して、トピックス賞が授与された。
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