研究実績の概要 |
基礎実験ではAGEsに対するメラトニンによる分解促進に関してさらに機序の解明を進め、今回の基礎実験にて次の事項①~③を明らかにした。① メラトニンは皮膚線維芽細胞プロテアソーム活性には影響しないこと。② メラトニンはマクロファージ(RAW264.7)から破骨細胞への分化誘導を促進すること。③ メラトニンはOPH活性にはほとんど影響しないこと。東京医科歯科大学 服部淳彦教授らのグループが、2型糖尿病モデル動物にメラトニンを投与すると、筋・脂肪組織においてインスリンシグナルが活性化されインスリンの作用を増強すること、キンギョの脳の初代培養系において、メラトニンがインスリン非依存性に糖取り込みを増加することを見いだした(Watanabe K, et al. Glycative Stress Research 7(1): 105-109, 2020)。メラトニンがインスリンとは別経路で脳細胞への糖の取り込みを上げている可能性を示しており、メラトニンの糖代謝への関与における新たな知見である。臨床試験では外因性メラトニン摂取により食後高血糖が緩和されること、「睡眠の質」向上によりメラトニン産生が高まること、「睡眠の質」指標としてメラトニン代謝産物6-sulfatoxy-melatonin(SaMT)が有用であることが示唆された。研究期間中、東京医科歯科大学 服部淳彦教授らのグループが、2型糖尿病モデル動物にメラトニンを投与すると、筋・脂肪組織においてインスリンシグナルが活性化され、インスリンの作用を増強すること、キンギョの脳の初代培養系において、メラトニン添加によって糖の取り込みがインスリン非依存性に増加することを見出した。これらの所見を総合して、『睡眠の質』向上による糖代謝改善の機序においてメラトニンが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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