研究課題/領域番号 |
17K01887
|
研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
清水 和弘 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 研究員 (00508286)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 時計タンパク / アスリート / コンディション / 唾液 / 免疫機能 |
研究実績の概要 |
アスリートが日常的に行う高強度運動は、その量や頻度が過度になると競技パフォーマンス低下や慢性疲労を伴うオーバートレーニング症候群を招いてしまう。また海外遠征が多く、時差による概日リズムの乱れが疲労を招くことも課題となっている。時計遺伝子は概日リズムを形成し、疲労発生に関与すると考えられている。しかし、唾液中の時計タンパクの運動応答を検討した研究は無く、その動態について不明な点が多い。本研究では、唾液中の時計遺伝子由来である時計タンパクを用いたコンディション評価プログラムについて検討することを目的としている。今年度は、唾液中の時計タンパクの運動に対する応答について検討した。健康な成人男性を対象とし、クロスオーバー法を用いて最大酸素摂取量の75%強度・60分間の自転車運動(EXC)実験およびコントロールとして60分間の安静(RES)実験を実施した。運動実施前(pre)、実施終了直後(0h)、1時間後(1h)、2時間後(2h)、3時間後(3h)において唾液を採取し、唾液中の総タンパク(TP)および時計タンパク(BMAL1、PER1)を測定し、時計タンパクはTPで除した補正値で示した。EXC実験のBMAL1/TPは統計的に有意な変動は示さなかったが、RES実験では2hにおいて有意に高値を示した(p<0.05)。PER1/TPについては両実験ともに有意な変動は示さなかった。以上のことから、唾液中の時計タンパクであるBMAL1レベルの経時的な上昇は高強度運動により抑制されることから、時計タンパクが形成する概日リズムは高強度運動で乱れる可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたサンプリングは実施でき、H29年度分の解析は順調に終わった。しかし、解析に使用していた酵素免疫測定法のキットのロットが変更された途端に唾液中の時計タンパクの検出ができなくなってしまったため、来年度以降は唾液中時計タンパクの検出が可能なキットの選定が必要となる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、唾液中の時計タンパクが検出できる酵素免疫測定法の測定キットの選定を行う。また、時計タンパクが形成する概日リズムについて明らかにするために、運動習慣の無い成人男性を対象として、8:00AM、12:00PM、16:00PM、20:00PMなどの定期的な時間において、唾液採取および主観的疲労感を調べる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品の調達についてできるだけ安価なものとなるよう選定したため、差額が生じた。残額は次年度の物品費に加算して使用する。
|