研究課題/領域番号 |
17K01887
|
研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
清水 和弘 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 研究員 (00508286)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 時計遺伝子 / アスリート / 疲労 / コンディショニング / 免疫機能 / 唾液 |
研究実績の概要 |
アスリートが日常的に行う高強度運動は、その量や頻度が過度になると競技パフォーマンス低下や慢性疲労を伴うオーバートレーニング症候群を招いてしまう。また海外遠征が多く、時差による概日リズムの乱れが疲労を招くことも課題となっている。時計遺伝子は概日リズムを形成し、疲労発生に関与すると考えられている。しかし、唾液中の時計タンパクの運動応答を検討した研究は無く、その動態について不明な点が多い。本研究では、唾液中の時計遺伝子由来である時計タンパクを用いたコンディション評価プログラムについて検討することを目的としている。今年度は、唾液中の時計タンパクの継続的な高強度運動に対する応答について検討した。大学男子ラグビー選手13名を対象とし、強化合宿開始前(0w)、開始6週間後(6w)、7週間後(7w)において唾液を採取した。得られた唾液より時計タンパクであるPER1およびARNTLについてELISA法を用いて濃度を測定し、1分間あたりの唾液分泌量(ml/min)を用いて補正した。唾液分泌量は、preに比べて6wおよび7wにおいて有意に減少した(p < 0.05)。また、時計タンパクであるPER1は継続的な高強度運動によって6wにおいて有意に低下し(p < 0.05)、7wは回復傾向が認められた。ARNTLには有意な変動は認められなかった。PER1が形成する概日リズムの高強度運動による乱れは運動の継続に伴い慢性化する可能性が示された。また、本研究では開始から6週目までは練習中心の合宿、7週目は試合中心の合宿であり、6wまでは7wより運動強度が高く実施時間も長かった。PER1が7wに回復傾向が認められたのは運動負荷が減ったことが影響した可能性があり、PER1は運動負荷の増減に応答する可能性が示され、リカバリーの指標としても有用である可能性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
時計タンパクを検出するための酵素免疫測定法のキットが中国の武漢地区で製造されているものであり、新型コロナウイルスの影響で現地での製造が滞っている状況である。そのため2019年度内にキットの納品および解析が行えなかったことが理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
時計タンパクの検出キットの入手が可能になり次第、解析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
時計タンパクを検出するための酵素免疫測定法のキットが中国の武漢地区で製造されているものであり、新型コロナウイルスの影響で現地での製造が滞ってしまったため、2019年度内に入手することができず、解析ができなかったことが理由である。 2020年度におていは早急にキットを入手し、解析を行う予定である。
|