研究課題/領域番号 |
17K01889
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
寺薗 さおり 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (90457937)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 育児行動 / 母親 / 動機づけ / 基本的心理欲求充足 / 自己決定理論 |
研究実績の概要 |
研究Ⅰ.母親の育児行動尺度の作成 育児行動に対する自律的動機づけの構造の確認に先立ち、母子のwell-beingを促進する母親の育児行動の内容を明らかにするために、子育て期母親役割尺度(寺薗・山口,2015)から、『母親の育児行動尺度』の項目を選定し、幼児を育てる母親を対象に質問紙調査を実施した。子どもは「幼児版QOL尺度(親用)」、母親は養育者としての発達を測定する「愛着-養育バランス尺度」との関連により妥当性を検証した。その結果、『母親の育児行動尺度』は「幼児版QOL尺度(親用)」と「愛着-養育バランス尺度」の「養育的因子」のいずれの尺度との間に有意な正の相関が認められ、質問項目の妥当性が確認された(次年度の学術集会にて発表予定)。 研究Ⅱ.母親の育児行動に対する自律的動機づけの構造解析 乳幼児を育てる母親を対象に質問紙調査を実施し、育児行動に対する基本的心理欲求と動機づけ(小児保健研究78,33-40掲載)、母親の育児行動、well-being(育児に対する自己効力感と主観的幸福感)との関連を検討した。その結果、育児行動に対する3つの基本的心理欲求充足は自律性の高い「内的調整」と「同一化的調整」との間に正の相関、母親の育児行動尺度そしてwell-beingの指標でもある育児に対する自己効力感尺度と主観的幸福感との間に正の相関を認めた。このことから、母親の「自律性」、「有能感」、「関係性」の欲求が充足されたとき、育児に対する自己決定的な行動やwell-beingが高まる可能性が示唆された(次年度の学術集会にて発表予定)。母親の育児行動に対する自律的動機づけの構造の解析について更なる分析を行い、より詳細な影響関係を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度の研究計画では、解析用ソフトを用いて母親の育児行動に対する自律的動機づけの構造を確認する予定であったが、調査対象者の確保のために研究Ⅰの調査時期が7月~12月となったこと、そして、その後の研究Ⅱの調査時期が平成31年2月~3月となったことにより、分析が遅れ、次年度に解析することになった。以上のことから、当初の研究計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、母親の自律的育児行動に対する動機づけの構造を検証していく。また、本研究で得られた知見をもとに、保育士が実際に活用できる保育士が実際に活用できるアセスメントツールを開発し、その効果と有用性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究Ⅰに係る入力作業や集計作業については、独自で行うなどした。次年度は、研究成果の発表や論文投稿、保育士に長期間、調査の協力を得、調査結果の整理等必要とすることから、これらの費用がかかる。
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