学童期(10歳)に低い実行機能を示す児を予測する、乳幼児期の神経発達の徴候を、縦断的な見地から見出すことを目的とし、研究を開始した。 本研究は、浜松母と子の出生コホート(HBC)のプラットフォームを利用し、本研究の参加者として、8歳時のWechsler Intelligence Scale for Children(WISC)から得られた知能指数(FIQ)を群分けし、実行機能発達の指標(課題の成績と課題に関与する脳賦活パターンの結果)と、生後1ヵ月~32ヵ月までの神経発達指標(Mullen Scales of Early Learningで得られたスコア)との関連を検討する計画である。 現在、HBCメンバーのうち、本研究に参加可能な被験者における8歳時の知能検査を終了し、総計840名のデータを得ることができた。一方で、実行機能発達の指標計測に関しては、新型コロナウイルス蔓延により、子どもの被験者を対象とした実験を行うことが困難となり、実験実施の延期が余儀なくされた。 実行機能発達の計測に関しては、ルールマネージメント課題を用いた課題の成績(正答率や反応時間)を得るとともに、この課題遂行中の脳機能計測を近赤外線分光装置(fNIRS)により実施する予定であるため、予備実験として、被験者10名程度の計測が終了したところである。 現在は、HBCプロジェクトから得られた知能指数と乳幼児期の神経発達における関連について検討を始めている。
|