我々はこれまでに裸足保育の効果を検討し,裸足保育が浮き趾(立位時に接地していない足趾),前後足圧荷重割合等に及ぼす影響を検討してきた.しかし,裸足保育の効果については多方面から検討する必要があった.本研究課題の目的は裸足保育が幼児の歩行・走行時の動作に及ぼす影響を検討することであった.平成31年度の研究計画は①測定協力園の拡大,②測定の実施,③データ解析・学会発表,④論文化であった.当初の計画をもとに本年度の研究を実施した.本年度は今後の研究の継続性・発展を視野に入れ,研究協力園を増やすことにも努めた.共同研究者と連携しながら,幾つかの園に対し,測定協力の交渉を進めた.福井県と岐阜県の園では今後の測定の継続について見通しがたった.これまでに測定したデータ(主に,裸足保育の園に通う幼児約80人,裸足保育を実施していない園に通う幼児約50名の歩行・走行データ)をもとにデータ分析を行い,学会にて発表した.第67回日本教育医学会(福井工業大学),第70回日本体育学会(慶應義塾大学),第19回日本体育測定評価学会(福井大学,中止となったが紙面発表),日本発育発達学会第18回大会(宇都宮大学,中止となったがオンライン発表)にて発表を行った.幼児の浮き趾と土踏まずの関係を検討した論文が学術雑誌「教育医学」に掲載された.現在,歩行,走行に関するデータを詳細に分析し,論文化を進めている.研究期間全体を通して,本テーマと関連する内容の学会発表は9編(うち,国際学会1編),論文は2編,学会誌の連載1編の研究成果を残した.
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