研究課題/領域番号 |
17K01895
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
澤井 ちひろ 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (30599824)
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研究分担者 |
阪上 由子 滋賀医科大学, 医学部, 特任准教授 (00437170)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 子どもを守る地域ネットワーク / 地域在宅支援 / 多機関連携 / 子ども虐待 / 発達障害 / 要支援度ツール |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、子どもが育つ地域での在宅支援に関して、専門領域の異なる多職種間で、子どもの状態像や背景要因、必要な支援を共通理解するためのツール作成である。2017年度は、関係機関とのケース検討会議を実施継続した。先行研究の文献調査および子どもの地域支援ネットワークに関する情報収集を行い、評価を定量化するための原案を作成した。 多軸評価は、(1)身体成育、(2)家族機能、(3)知的発達、(4)認知行動特性、(5)学習習熟状況、(6)活動参加状況、(7)対人関係・行動パターン(内在化)、(8)対人関係・行動パターン(外在化)で構成され、複数の評価者にて生活への影響の程度を5段階で評価する。課題の程度は、1:症状なし。2:症状あるが、適応できている。3:症状あり、単発的な不適応あり(重症度レベル1、サポートが必要)。4:症状あり、継続的な不適応あり(重症度レベル2、多くのサポートが必要)。5:顕著な不適応があり、日常生活の維持に影響する(重症度レベル3、非常に多くのサポートが必要)とした。上記3,4,5は臨床域に該当する。 支援の状況は、1:特別な支援はされていない。2:現場の指導者が必要時支援している(担任、保護者)クラスに10人程度。3:現場の指導者の他にも複数で支援をしている(加配担当、支援員、養護教諭、通級指導教室、特別支援学級、管理職等の利用、関与)クラスに2,3人程度。4:現場に加えて、外部機関を利用して支援をしている(スクールカウンセラー、ソーシャル・ワーカー、適応指導教室、発達支援センター、医療受診)学年に4,5人程度。5:現場と外部の複数機関とで継続的な支援をしている(4に加えて、医療での薬物・心理療法、家庭児童相談室、児童相談所、警察、鑑別所等)学年に1,2人程度とした。上記3,4,5は特別支援の対象である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、子どもが育つ地域での在宅支援に関して、専門領域の異なる多職種間で、子どもの状態像や背景要因、必要な支援を共通理解するためのツール作成である。2017年度に研究代表者は、地域の支援機関である児童相談所で29件、発達支援センターで4件のケース検討を実施した。また診療の一環として、研究代表者と分担者が医療機関でケース検討会議を19件実施した。先行研究の文献調査および子どもの地域支援ネットワークに関する情報収集を行い、評価を定量化するための原案を作成した。研究計画はおおむね順調に発展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、子どもが育つ地域での在宅支援に関して、専門領域の異なる多職種間で、子どもの状態像や背景要因、必要な支援を共通理解するためのツール作成である。 今後の研究の推進方策は、1)要支援度に関する8つの多軸項目と下位分類、その評価基準に基づき、虐待事例や地域支援継続例、一般の子どもを対象としてサンプルを集める。研究代表者が引き続きケース会議に出席し、支援者と協議してケースごとに該当項目を定量評価する。2)各項目間の共通要因を探るために因子分析を行う。どの項目がより経過に関与するか、多変数から総合的な指標を作るため、カテゴリカル主成分分析を行う。3)経時的にケース会議に用いながら、実務者の評価を受けてスコアリングを検証し、実用化を図る。ソーシャルワークの観点を意識し、対象となる親子が地域で利用できる支援を検討する。これは直接支援と間接支援を含むが、それぞれ得意分野をもつ多機関連携のメリットを活かすことができる。各課題と支援状況の差を要支援度として捉え、ケース会議で共有することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の文献検索および情報収集に関しては、研究代表者の所属機関リポジトリの図書、文献を主に利用したため、新たな物品購入は必要最小限にとどまった。また関係機関との連携についても、代表者が通常業務として出向く機関で行ったため、新たな旅費を必要としなかった。次年度以降は、統計解析やアウトリーチに要する経費を計上予定である。
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