研究課題
本年度は、前年度に作成した静的な姿勢評価プログラムを用いて、X線撮影による脊柱弯曲との信頼性検証を実施した。その結果、腰部及び頚部など体脂肪の影響がみられる部位では精度がやや下がるものの、級内相関係数も高い値であり、垂直軸設定やノイズ除去等の手法には問題がなく、再現性高く計測ができることが確認できた。次に、動的な姿勢での評価が可能となるよう、被験者に対して前後屈や左右傾屈など姿勢を変化させる身体運動を実施させ、これらの姿勢変化を定量的に評価するプログラムを開発し、2019年2月に測定法に関する発表をおこなった。また、研究及び開発を通して、深度センサによる評価では、数値としての定量化だけでなく、グレードによる評価を行った方が高い再現性が得られることが確認されたため、グレード評価による身体機能および運動機能評価法(スクリーニングテスト)を開発した。このテストの妥当性検証として、実際の小中学生を対象とした姿勢や動作の測定評価(横断的調査)をおこなった。その際、整形外科医や理学療法士による理学所見メディカルチェック等、実際の運動器障害のスクリーニングテストも実施し、それらとの関連を検討した。また、運動器障害の発生状況等については、小中高生を対象とした運動器障害の評価や理学所見などメディカル・フィジカルチェックを行い、投球障害肩や投球障害肘など運動器障害を有する選手において特徴的な運動機能や身体機能を明らかにするための統計的評価を行った。以上のように、本研究課題である深度センサを用いた運動器障害の早期発見のためのスクリーニングテストの開発を実現するために必要となる身体機能評価および運動器障害と身体機能・運動機能との関係に関する基礎的データが収集できた。これらの知見を組み合わせ、縦断的な調査を継続することで、早期発見に繋がるスクリーニング法が開発できる可能性が高いと考えられる。
1: 当初の計画以上に進展している
姿勢評価に関するプログラムおよびスクリーニング法の開発が順調に進んだため、2019年度以降に実際のスポーツ選手を対象とした計測が可能となったため。
今年度については、まず、2018年度に作成した運動機能および身体機能の測定評価法を用いて、横断的調査及び縦断的調査を進める。スクリーニングテストとしての妥当性の検証として、開発した計測方法を用いて、実際の小中高生を対象とした姿勢や動作の測定評価をおこなう。その際、整形外科医や理学療法士による理学所見メディカルチェック等、実際の運動器障害のスクリーニングテストも実施し、それらとの関連を検討する。また、運動器障害の発生に関しては、体格や運動量などが交絡因子として影響することが考えられるため、これらの要因を調整するための調整法についても検討し、簡便に実施できる質問紙評価法などの開発をめざす。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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