研究課題/領域番号 |
17K01901
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上田 毅 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90254648)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | セルフイメージ / 認識誤差 |
研究実績の概要 |
本研究では,サッカーを対象に,運動量や速度,心拍数といった計測データの競技者が持つセルフイメージと実際の計測結果との間にどのような認識誤差が生じているかを調査することを目的とした.そして計測データを用いたフィードバックの有効性を考察した. その結果,サッカーの試合中における運動量や心拍数,ダッシュスピードなどの生理的強度に関して,競技者のイメージは実際の値から離れている傾向があると推測された.ボールに関与するプレー面を見ると,シュート本数は競技者の試合後のイメージと実際の結果は近い値となった.ボールロスト回数においては,競技者のイメージと実際の結果との間に誤差があり,その誤差はポジションによる特性が関係すると考えられた. サッカーは,指導者が自らの経験をもとに言葉がけによる指導を行い,個人やチームのパフォーマンスは数値的にではなく質的に評価されることが多い.つまり,指導者と競技者のイメージに誤差があると,競技者が納得できるような適切なフィードバックを行うことは難しい.本研究ではサッカーにおける数値的データの競技者のイメージと実際の計測結果との間に誤差が存在するという傾向があると推測された.つまり,数値データは競技者が自身のパフォーマンスを正確にイメージする手助けと成り得るのではないだろうか.また,指導者が数的な情報を持っていれば,競技者に対してフィードバックを行う際やトレーニングメニューを考案する際にもその手助けと成り得るということが推測された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでのところサッカーやバレーボールといった数値データを獲得しやすい種目を対象に検討方法の確立を目指してきている。その結果,指導者の見ている選手のプレーと選手自身が感じているプレーには認識誤差があり,これを埋める教材を開発しないと有効な指導はできないと考えられるという成果が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで,サッカーやバレーボールを対象に,指導者が求める動作をどのようにしたら認識できるかについて実践してきたが,そもそも指導者と実践者の間に,目標となる動作に対する認識誤差が認められた。この認識誤差をいかに小さくするか,また小さくするような視覚教材を開発していきたい。そしてセルフイメージと実際が異なる種目,且つより数値化が難しい種目を選択し,セルフイメージと実際の乖離を埋める視覚教材の開発を目指す。
|