研究課題/領域番号 |
17K01902
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山本 紀子 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (80726729)
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研究分担者 |
永野 純 九州大学, 基幹教育院, 教授 (10325483)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エコチル追加調査 / 親のストレス・ストレス応答行動特性 / 自記式アンケート調査 / 3歳時調査 / 4歳時調査 |
研究実績の概要 |
本研究は環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の「追加調査」の一つとして実施するものである。エコチル調査は平成26年3月までに参加者登録が完了し、現在追跡調査が行われている。本研究の対象者は、エコチル調査九州大学サブユニットセンターにおいてエコチル「詳細調査」に参加する母子223組を対象としている。エコチル詳細調査に参加する子どもが3歳になった時点で、その母親を対象としてストレスに関する自記式質問票調査を行い、ベースラインデータとする。子どもが4歳になった時点で母親から同じ質問票への回答を得る。質問票は社会関係性におけるストレス応答行動特性や、自律性(オートノミー)を測定する質問項目からなり、我々が先行研究において開発したものである。 平成29年度は3歳児の親を対象としたアンケート調査約220件を施行し、ベースライン調査はほぼ終了した。3歳児調査と並行して、4歳児のエコチル詳細調査の際にその親を対象としたアンケートを実施した。3歳・4歳時点でのアンケート調査が終了した参加者(約100名)については、1年間のアンケート結果の変化をもとに結果の解析を行った。すなわち、セルフレギュレーション、対象依存(失意)、対象依存(怒り)、不利な状況、受容欲求の非充足感、利他性、利己性の各項目についての回答(3歳時および4歳時)を得点化し、3歳時と4歳時に分けてグラフ化して1年間の変化をみたものである。結果とその見かたについて分かり易く説明した文書を作成し参加者に郵送にて返却した。 平成30年度も引き続き4歳児の親へのアンケート調査を実施し、参加者個人への結果返却を行うと同時に、全調査が終了したら子どもの成長・発達と親のストレス・ストレス応答行動特性について全体としてどのような傾向があるのかを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3歳児、および4歳児の親に対するアンケート調査は子どものエコチル調査と同じタイミングで施行し、研究への参加率はひじょうに良好である(エコチル詳細調査に登録の3歳児223名中、約220名の親が研究に参加)。1年後の4歳時に施行するアンケート調査では、参加率は3歳と同様に良好であるが、遠方への転居等で4歳時の調査が九州大学サブユニットセンターで実施できない参加者が複数みられた。本研究は3歳、4歳の2回アンケート調査を実施するため、当初予定していた参加者よりも減ってしまうことになるが、参加者の大幅な減少はない見込みである
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に行ったアンケート結果の解析は、母親が自分の感じているストレスやストレス応答行動特性の傾向を知り、また子どもが3歳から4歳になる間に自身の感じるストレスやストレス対処行動にこの一年間でどのような変化があったかを知るものである。3歳時調査(ベースライン調査)はほぼ終了したが、平成30年度も引き続き4歳児の親へのアンケート調査を実施していく。4歳時調査の大部分が平成30年度から平成31年度前半までに終了する予定であり、3歳および4歳の2回の調査が終了した後は、エコチル詳細調査より入手する子どもの成長・発達に関する諸データと、親の心理的傾向・ストレス応答行動特性との関連について詳細な解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費50,000円を計上していたが、平成29年度は研究協力者との打ち合わせをメール回議等で実施できたこと、研究結果の学会等での発表がまだできなかったこと、等により旅費が不要となったため、次年度使用額が生じた。研究は順調に進んでおり、次年度以降はアンケート調査の解析結果の学会発表などを検討している。
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