研究課題/領域番号 |
17K01910
|
研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
白川 佳子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20259716)
|
研究分担者 |
無藤 隆 白梅学園大学, 子ども学研究科, 教授(移行) (40111562)
原 孝成 目白大学, 人間学部, 准教授 (10290636)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 保育者研修 / コミュニケーション / SSTEW / 問題解決場面 / 保育の質 / 共有された思考 / 研修の効果 |
研究実績の概要 |
(1)仮想テスト場面調査(事前調査)では、保育経験年数5年未満の3、4、5歳児クラスの担当保育者75名を対象として、タブレットで呈示した幼児の問題解決場面に対して保育者がどのような言葉かけをするのか仮想テスト場面調査を実施し、保育者の言語的コミュニケーション・スタイルの個人差、つまり、語彙の豊富さ、応答的で拡張的なやり取り、共感的・思考的なやりとりの高低について検証した。 (2)実際の保育場面調査(事前調査)では、(1)と同様の75名の保育者の実際の保育場面を観察し、保育プロセス評価スケールSSTEWに基づいた項目を用いて保育者と子どもの相互作用の質を査定し、仮想場面と実際場面の関連を検討した (3)保育者研修では、保育者50名を対象(内、38名が研修参加群)として、保育者の言語的スキルの向上を目的としたワークショップ型の保育者研修を実施した。さらに、保育者研修の事前・事後に実施する「仮想テスト場面(事前)」と「仮想場面調査(事後)」のデータを比較し、被験者内の研修効果について検討した。 (4)保育者研修の後にフォローアップ調査として、研修参加者の「実際の保育場面調査」を実施し、(2)と同様にSSTEWに基づいた項目を用いて保育者と子どもの相互作用の質を査定した。さらに、研修未参加群37名の「仮想テスト場面調査」、「実際の保育場面調査」のデータを研修参加群38名のものとそれぞれ比較し、被験者間における研修効果を検討した。 (5)2017年度の研究成果を2018年8月にハンガリーのブダペスト工科経済大学で開催されるヨーロッパ幼児教育学会において発表する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、2017年度に実施する調査の研究対象者をと保育者80名と考えていたが、保育園の勤務形態の関係で9月に実施した事前調査は75名であった。さらに、2月に実施した事後調査では退職や育休中の保育者が9名おり、事前事後の調査データが揃っているものは66名となったため。 また、実際の保育場面の観察ではSSTEWの評価スケールを用いたが、約2時間の観察時間の中で捉えることができない項目が含まれていることが分かり、2018年度の調査では改善する必要があると考えられるため。 以上の2点から、おおむね順調に進展していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年度の研究計画に従って、以下のような第2班の調査を行う。 (1)仮想テスト場面調査(事前調査)では、保育経験年数5年未満の3、4、5歳児クラスの担当保育者80名を対象として、タブレットで呈示した幼児の問題解決場面に対して保育者がどのような言葉かけをするのか仮想テスト場面調査を実施し、保育者の言語的コミュニケーション・スタイルの個人差、つまり、語彙の豊富さ、応答的で拡張的なやり取り、共感的・思考的なやりとりの高低について検証する。 (2)実際の保育場面調査(事前調査)では、研修参加群の保育者の実際の保育場面を観察し、保育プロセス評価スケールSSTEWに基づいた項目を用いて保育者と子どもの相互作用の質を査定し、仮想場面と実際場面の関連を検討する。 (3)保育者研修では、保育者80名を対象として、保育者の言語的スキルの向上を目的としたワークショップ型の保育者研修を実施する。さらに、保育者研修の事前・事後に実施する「仮想テスト場面(事前)」と「仮想場面調査(事後)」のデータを比較し、被験者内の研修効果について検討する。 (4)保育者研修の後にフォローアップ調査として、研修参加者の「実際の保育場面調査」を実施し、(2)と同様にSSTEWに基づいた項目を用いて保育者と子どもの相互作用の質を査定し検討する。さらに、研修未参加群の「仮想テスト場面調査」、「実際の保育場面調査」のデータを研修参加群のものとそれぞれ比較し、被験者間における研修効果を検討する。これらの研究結果は海外の学会において成果を発表する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は研究分担者の原が学会等に参加できなかったが、2018年度は研究代表者の白川と共に分担者の原も国際学会に参加し研究成果を発表する予定である。 また、2017年度に実施した調査の対象者数が、退職等により予定よりも14名ほど少なくなってしまった。2018年度も対象者の退職等による有効データ数の減少が予想されるため、調査対象の保育園数を多めに確保し、調査補助者への謝金として使用したいと考えている。
|