研究課題/領域番号 |
17K01911
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
照屋 浩司 杏林大学, 保健学部, 教授 (20197817)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小学校低学年児童 / 超音波骨評価値 / 骨量獲得因子 / 生活習慣 / 成長 |
研究実績の概要 |
これまでの骨量獲得の因子に関する研究における対象は思春期または青年期であり、幼児期あるいは小学校低学年児童を対象とした研究は少なく、さらに研究手法も断面的なものにとどまっていた。本研究では、小学校低学年児童を対象として、超音波骨評価装置を用いた骨評価および体格などの計測を年に一度、継続して実施することに加え、食事の嗜好、睡眠や運動などの生活習慣などに関する質問紙調査を実施し、小学校低学年児童の骨量獲得に影響する要因について、とくに経年的な発育・発達の要因を調整した解析を行うことで、児童期の骨量獲得に関する因子について明らかにしようとしている。 3年の研究期間の初年度であった平成29年度は、縦断的な検討を行うためのベースとなるデータを収集し、データの整理、入力を行った。調査フィールドの変更を余儀なくされるなど予期せぬ状況も発生したが、新規に2つの小学校をフィールドとして開拓することができ、事前に予定していた対象者数の児童に対し、超音波骨評価装置を用いた骨評価・体格などの測定、食事の嗜好・睡眠や運動などの生活習慣などに関する質問紙調査を実施し、データの整理、入力までを行った。 縦断的な疫学調査においてはフィールドの確保が第一であり、フィールドを確保し初回の測定を実施できたことで、将来の骨折、骨粗鬆症の予防につなげられるような児童期の骨量獲得に関する因子、とくに運動、睡眠、食嗜好の関与について明らかにするための基盤が形成できたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度である平成29年度においては、フィールド調査における測定にとくに支障のあった超音波骨評価装置1台について振動子メンブレンユニットを購入し整備を行うとともに、体組成計、データ解析用のパーソナルコンピュータ、統計解析ソフトウエアについて、予定どおりの準備をすすめた。 調査のフィールドとして予定していた小学校における事情(小中一体化の新教育プログラムの採用に伴う、研究への協力体制の見直し)により、当該小学校での研究実施を断念せざるを得ず、急遽、2つの小学校を新たなフィールドとして開拓し、研究計画時点で予定していた約200名の対象者数を確保した上で研究をスタートさせた。フィールド調査は平成29年9月、平成30年1月にそれぞれ実施し、超音波骨評価装置を用いた骨評価および体格の測定を実施するとともに、食事の嗜好、睡眠や運動などの生活習慣などに関する質問紙調査を実施した。調査時の、特に時間的な制約のため、一部の対象者については体組成の測定が行えず、体格(身長・体重・足のサイズ)のみの評価となった。 1校のフィールド調査が年明けにずれ込んだため、研究の進捗は平成29年度中にはデータの整理およびデータ入力までにとどまり、単年度データを用いた横断的な解析には取り組めていないが、予定していた対象者数を得て調査を実施できたことで、次年度以降の経年変化評価のためのベースも確保できたことから、進捗状況については「おおむね順調に進展している」と考えた。
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今後の研究の推進方策 |
第2年目となる平成30年度においては、調査対象とする2つの小学校での第2回目の調査を平成30年9月および平成31年1月に実施の予定である。調査では引き続き、超音波骨評価装置を用いた骨評価測定に体格の測定を加えて実施するとともに、食事の嗜好、睡眠や運動などの生活習慣などに関する質問紙調査を実施する。データの整理・単年度データの解析に加え、その時点で2年連続した経年変化データの得られる予定の約200名については、初回調査時および第2回調査時の生活習慣・体格、およびそれらの変化が、小学校低学年児童の超音波骨評価値におよぼす影響についての検討も併せて実施したい。初年度に体組成データを得ることができなかった対象者についても、身長・体重・足のサイズ等についてはデータが取得できており、成長に伴う影響を除外して行う解析は実施可能であるため、本研究に与える影響はほとんど無いものと判断している。 第3回目の調査となる平成31年度においても同様の測定、調査を実施し、最終的には本研究期間中に得られる約400件の経年変化データに、予備的な研究によって得られている約200件の経年変化データを加えた対象者についての解析を行い、成長に伴う骨の脆弱化の影響を除外して、小学校低学年児童の骨量獲得に関連する要因、とくに運動、睡眠、食嗜好の関与を検討できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費・謝金の経費が予定よりも少額であったため次年度使用金が発生したが、差額は僅かであり使用計画に大きな変更は要さない。
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